2002 Fiscal Year Annual Research Report
歯根膜組織における破骨細胞分化促進因子および抑制因子に関する分子生物学的解析
Project/Area Number |
14571817
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
吉嶺 嘉人 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教授 (80183705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 博 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (20155774)
前田 英史 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (10284514)
赤峰 昭文 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (00117053)
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Keywords | 歯根膜 / RANKL / M-CSF / 蛍光抗体法 / 破骨細胞 |
Research Abstract |
歯根膜組織における硬組織改造現象への破骨細胞分化促進因子の関与を解明する一環として、今年度はこれらの因子の局在を免疫組織化学的手法により明らかにすることを目的に研究を行った。破骨細胞の分化、成熟に必須の因子としてRANKLが同定され、また、細胞成長因子であるM-CSFも破骨細胞の分化に重要な働きを担うことが明らかである。一方、歯根周囲組織はセメント質と歯槽骨という硬組織と、その間に介在する線維性結合組織である歯根膜により構成され、矯正力や外傷性咬合など力学的負荷が加わった場合、あるいは根尖性歯周炎など炎症性疾患の場合において、歯槽骨表面または歯根表面に活発な硬組織の改造現象が起こることが知られている。 今回は5週齢ラットの上顎臼歯部における生理的状態並びにWaldo法による矯正力を加えた際のRANKL、M-CSFの局在を蛍光抗体法を用いて検索した。 ラット臼歯は生理的機能時に加わる力学的負荷などが原因で遠心移動する。TRAP染色では臼歯遠心側歯根表面と歯槽骨近心面に限局してTRAP陽性細胞が観察された。一部のTRAP陽性細胞(破骨細胞、破歯細胞)の細胞質にRANKL陽性反応が顆粒状の蛍光像として認められた。しかし、TRAP陽性細胞すべてに陽性像が見られるわけではなかった。圧迫側の歯根遠心面近くに存在し、歯根面とほぼ平行に走行する歯根膜線維芽細胞にRANKL陽性像が認められた。この細胞はM-CSFでは染色されなかった。 以上の結果より、TRAP陽性の破骨細胞および破歯細胞に認められたRANKL、M-CSFの局在は、paracrineまたはautocrine的に作用していると考察される。また、圧迫側歯根面近傍に存在するRANKL陽性の歯根膜線維芽細胞が破歯細胞の分化、成熟に関与する可能性が示唆された。
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