2003 Fiscal Year Annual Research Report
疲労破断面解析に基づいた部分床義歯の設計評価システムの開発
Project/Area Number |
14571840
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
若林 則幸 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助手 (00270918)
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Keywords | 義歯 / 破壊 / 応力 / 破折 / 疲労 / 有限要素 / 咬合力 / 耐力 |
Research Abstract |
本研究においては,臨床で用いられ破折や変形などを起こした部分床義歯について,損傷部破面の解析を行い,破壊の直接の原因となった破壊荷重量(咬合力)や義歯の形態的特徴を解明することであった.前年度における調査により,実際の破損補綴物の性状分析は行っており,本年度は有限要素法による破損義歯のストレス解析を,特に部分床義歯の各構成要素てあるクラスプやレスト,レジン床なとについて3次元モデルを用いて行い,これと実際の破損義歯の特徴をあわせて検討することにより,破損の原因となったストレスと荷重量,破壊の進展経路などの推定を行った.研究結果の詳細については裏面に記した複数の論文に論述されている.すなわち,部分床義歯のメタルフレームにおいては小連結子の基部付近に応力集中か起こることが認められ,これは実際の破損義歯の傾向と一致した.その際,同部に発生する主応力は義歯に用いられるCo-Cr合金の0.2%耐力とほぼ同程度の700MPaに近いことが確認された.疲労試験の結果を参照すれば,同部の応力が500MPa程度に収まるように義歯の設計を考慮すれば,こうした破損は防げると考えられた.一方,クラスプのように機能上繰り返しのたわみを受けることが避けられない構成要素の場合,材料の疲労強度が重要な役割を果たすことが明らかとなった.新素材であるTi-6A1-7Nb合金などの高機能性合金を同構成要素に用いれば,弾性率に対する耐力値が大きいことから,破損の可能性が抑制されるたけでなく,氷久変形か最小限となることがわかった.これら義歯内部の応力解析と破損の実例との結果を照合し,さらに有限要素モデルの形状を変化させることにより,義歯設計の最適化を行った.本補助金による研究課題の遂行により,従来にはなかった新しいアプローチによる義歯設計と人工生体材料の評価方法が明確に示され,力学的に最適化された義歯の製作を可能とする方法論が提示された.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Wada S: "Influence of abutment selection in maxillary Kennedy II RPD on stress distribution in oral mucosa : A FEM study"J Prosthodont. (accept). (2003)
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[Publications] Ikeda T: "Effect of cross section shape of metal strengthener on stress distribution in acrylic denture base"Prosthodont Res Pract. (accept). (2003)
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[Publications] Yokoyama S: "The influence of implant location and length on stress distribution for three-unit implant-supported posterior cantilever fixed partial dentures"J Prosthet Dent. (accept). (2003)
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[Publications] Mahmoud A: "Deflection fatigue of Ti-6Al-7Nb alloy cast clasps"J Japan Prosthodont Soc. 47(110). 200 (2003)
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[Publications] 若林則幸: "チタン合金床義歯大連結子のたわみ強さの向上を目指した補強形態の検討"日本補綴歯科学会雑誌. 47(109). 99 (2003)
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[Publications] Wada S: "Effect of Clasp Location in Class II RPD on Stress Distribution in Underlying Oral Mucosa"J Dent Res(special issue). 82. 82 (2003)