2003 Fiscal Year Annual Research Report
接着性モノマーの理論的分子設計による高機能接着システムの開発
Project/Area Number |
14571848
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
吉田 靖弘 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (90281162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡崎 正之 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30107073)
鈴木 一臣 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (30050058)
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Keywords | 接着 / セルフエッチング / プライマー / 機能性モノマー / TEM / XPS / 象牙質 / アパタイト |
Research Abstract |
セルフエッチングシステムは,歯質のコンディショニングとプライミングを同時に行う水洗不要な接着システムであり,酸性の機能性モノマーが主要化合物として用いられる。樹脂含浸象牙質層内にはアパタイトが残存しており,機能性モノマーと化学結合するためのレセプターとして働くことが期待できる。そこで本年度は,セルフエッチングプライマーに含まれる機能性モノマーについて詳細な化学分析を行うとともに,市販セルフエッチングシステムの接着耐久性を検討した。その結果,今回用いた機能性モノマーの中では,MDPがハイドロキシアパタイト(HAp)に対して最も高い吸着量(MDP>4-MET>Phenyl-P)を示した。HApに吸着した4-METは4-MET単体に比べてカルボキシル基が低エネルギー側に化学シフトしておりHAp表面のCaとイオン結合していることが認められた。Phenyl-P単体のClsピークはその構造式から得られる理論的なピーク比,-COO-:C-O:C-C, C=C, C-H=1:3:8に近いものの,HApに吸着したPhenyl-PはClsピークの形が大きく異なっており,加水分解されたことが明らかとなった。HApに吸着したMDPのClsピークはMDP単体と大きな違いは認められなかったが,C-OPピークがわずかに低エネルギー側に化学シフトしており,MDPがHApに化学吸着していることが示唆された。サーマルサイクル試験後の引張り試験の結果,Phenyl-P含有のClearfil Linerbond IIは,4-MET含有のUnifil Bond, MDP含有のClearfil Mega Bondに比べて引張り接着強さが優位に低下しており,前述の化学分析の結果を裏付けるものとなった。以上より,各セルフエッチングシステムの象牙質接着性は,含まれる機能性モノマーの性能に大きく依存することが示唆された。
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