2003 Fiscal Year Annual Research Report
低温プラズマを用いた歯科用金属の表面処理と接着構造変化の解明
Project/Area Number |
14571861
|
Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
藤島 昭宏 昭和大学, 歯学部, 講師 (50209045)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 隆 昭和大学, 歯学部, 教授 (40175617)
鈴木 正子 昭和大学, 教養部, 教授 (90053892)
山本 雅人 昭和大学, 教養部, 講師 (50277844)
|
Keywords | 低温プラズマ / 歯科用金属 / 表面処理 / 接着 / プラズマエッチング |
Research Abstract |
2種類の歯科用金属(チタン,金銀パラジウム合金)に対して,当教室試作のプラズマ発生装置を用いて,被着面に対して低温プラズマ(CP)処理を施した.処理条件として,初期電圧400V,電流密度0.2mA/mm^2の条件で,15分間までの各処理時間についてCP処理を行った.接着試験のための被着面は,内径6mmの穴の空いたシールを貼り接着面積の規定を行った.合着用材料には機能性モノマーのMDPを含むレジンセメントを用いた.接着体には直径8mmのチタン棒を用いて被着面に接着させた.引張接着試験はインストロン万能試験機を用い,引張接着強さ(TBS)を測定した(n=5).CP処理後参金鋲パラジウム合金において,各処理時間における重量損失と表面粗さ,また被着面表層の反射電子組成像観察ならびにWDXによる元素分析を行った. CP処理では時間の増加に伴う重量損失が認められ,金銀パラジウムでは表面粗さの顕著な増加も認められた.未処理チタンのTBSは6.4MPa, CP処理後では8.5MPa,未処理金銀パラジウム合金のTBSは2.0MPa, CP処理後では3.4MPaとなり,CP処理を施すことによりTBSの顕著な増加を生じることが認められた.また,CP処理後の金銀パラジウム合金で観察された微細構造変化は,WDX分析からAg-richのAg-Pd-Cu-Au相からAgがスパッタリングされたことにより生じたと推測された.歯科用合金に対するCP処理は,高エネルギーのプラズマを用いるため,処理液による汚染のない清浄なエッチング面を作製可能であることが認められた.また,CP処理によるTBSの増加は,金属表面の清浄化,活性化だけでなく,微細構造変化も関与していると考えられた.本研究結果から,歯科用合金に対するCP処理は歯科補綴物の接着性向上に有効な接着前処理であり,歯科接着技法に応用可能な表面処理法であることが判明した.
|