2002 Fiscal Year Annual Research Report
陶材焼付け用合金の凝固収縮率と高温物性に関する研究
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14571870
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
永沢 栄 松本歯科大学, 歯学部, 助教授 (40064703)
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Keywords | 陶材焼付け用合金 / 固液共存領域 / 固相点 / 液相点 / 凝固膨張率 / 固液共存領域における金属組織 / 機械的性質 / 弾性係数 |
Research Abstract |
市販陶材焼き付け用合金2種類(KIK-HII、デグボンドJ2)について、サーモメカニカルアナライザー(島津:TMA50H)を使用して、液相点温度までの熱膨張測定と高温曲げ試験を行った。その結果KIKの固相点温度は1209.3±3.2℃、液相点温度は1308.3±7.1℃、溶解膨張率は0.4±0.2%であった。J2の固相点温度は1198.3±0.6℃、液相点温度は1253.0±4.4℃、溶解膨張率は4.5±0.8%であった。KIKの固相点とJ2の液相点は、メーカー公表値よりも約30℃低かった。溶解に伴う膨張は、KIKでは測定荷重1gで消失したが、J2では同10gでも観察され、固液共存領域における強度は大きく異なっていた。KIKの弾性係数は、温度上昇とともに急激に低下し、700℃で室温の1/10に、1050℃では室温の1/50となり最小になった後、1150℃、1200℃では僅かに大きくなった。J2の弾性係数は緩やかに低下し、950℃で室温の1/10、1200℃で室温の1/40となった。 1000℃〜1300℃の各温度から水中に急冷したKIKとJ2の金属組織は、KIKでは機械加工の痕跡が1050℃で完全に消失しているにもかかわらず、J2では1150℃でも明瞭の残っていた。1300℃から急冷したKIKの組織には、丸い固相と液相から新たに晶出したと思われる等軸晶が見られ、液相の中で等軸晶が対流している状態が観察された。一方J2では、1275℃で、固相の中に液相が浸潤し膨れ上がった固相が観察され、その固相の先端から等軸晶が成長している様子が観察された。 以上のように、両合金は高温における様相が大きく異なることが判明し、第41回日本歯科理工学会(平成15年4月18日)にて口頭発表する予定である。
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