2003 Fiscal Year Annual Research Report
陶材焼付け用合金の凝固収縮率と高温物性に関する研究
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14571870
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
永沢 栄 松本歯科大学, 大学院・歯学独立研究科, 助教授 (40064703)
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Keywords | 陶材焼き付け用合金 / 固液共存領域 / 固相点 / 液相点 / 凝固膨張率 / 固液共存領域における金属組織 / 機械的性質 / 弾性係数 |
Research Abstract |
平成14年度の市販陶材焼き付け用合金2種類(KIK-HII、デグボンドJ2)に関する成果を、第41回日本歯科理工学会(平成15年4月18日)にて、口頭発表した。 この内、KIKの溶融時に見られた、液相の中で等軸晶が対流している状態と、J2で見られた、固相の中に液相が浸潤し膨れ上がった固相、その固相の先端から等軸晶が成長している組織は、現在までその生成理由が不明なものであった。 本年度は、4種類の合金(KIK-HII、デグボンドJ2、キンパラS12、TypeIII金合金)をもちいて、これ等の組織について更なる検討を加えた。その結果、S12以外では、溶融時に微細な結晶が晶出しきた。しかし液相点+50℃からの急冷組織では、微細な結晶は消滅し、過冷状態から晶出したと思われる大きなデントライトが出現した。また、この微細な結晶は凝固時には出現せず、溶融が進行する状態において存在することが確認された。 以上の結果より、歯科用合金は,初期溶融時に固相の一部が微細な結晶となって生成し、その後、液相に融けることによって結晶は消滅すること、他の固相部は、時間と共に液相成分を吸収し肥大化すると考えられること、凝固時には、液相点近傍の組織が決定的な影響を及ぼし、固相点になっても維持されることが判明した。これ等の成果については、第42回日本歯科理工学会(平成15年9月19日)において発表した。 現在、これ等の現象を裏付ける金属組成の変化についてEPMAを用いて検討中である。また、平成14年度の成果は、学会誌に発表すべく論文を執筆中である。
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