2002 Fiscal Year Annual Research Report
Apert型変異FGFR2遺伝子導入マウスに生ずる頭蓋形成異常の分子機構の研究
Project/Area Number |
14571883
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
永田 昌毅 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10242439)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
網塚 憲生 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (30242431)
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Keywords | 頭蓋形態形成 / 頭蓋発生 / 軟骨分化 / Apert症候群 / FGFR2 / 頭蓋縫合 |
Research Abstract |
Apert症候群型変異FGFR2トランスジェニックマウス(以下:Tgマウス)の頭蓋顔面領域の変形はFGFR2遺伝子変異によるレセプター特異性の異常によって引き起こされることを示すため、いくつかの実験を行った。 (結果と解釈) (1)RT-PCR法で胎仔頭蓋底にFGF7とFGF10の発現を確認した。→FGF7とFGF10は頭蓋底軟骨の発生に関与している。 (2)胎仔頭蓋底の無血清器官培養系でのFGF4及び10投与実験を行った。軟骨成長観察(頭蓋と体肢でTgマウスと正常マウス(以下:WTマウス)の比較)では、FGF4(FGFR2に親和性を有する)投与ではWTとTgマウスの間に差は見られなかったが、FGF10(本来FGFR2に親和性を有しない)投与ではTgマウスの軟骨で肥大化層に明らかな縮小が観察された。→本来結合しないはずのFGF10がApert変異FGFR2に結合することが示唆された。これは変異型FGFR2の発現が、FGF分子群を介した頭蓋顔面の発生、発育過程に何らかの異常を引き起こしていることを示唆している。 (3)Tgマウスの頭蓋には上顎骨劣成長、脳頭蓋の前後径減少が観察される。一方で四肢には明らかな異常は見られない。組織所見では頭蓋底の発生過程において、軟骨の成長抑制と分化の促進が観察される。→Apert変異型FGFR2の発現が頭蓋軟骨の成長、分化に特異的に影響するメカニズムが存在している可能性がある。 (4)胎仔軟骨のBrdUラベリングを行った。胎生17日のWTマウスとTgマウスの軟骨細胞における陽性率を比較した。頭蓋軟骨ではWT 9.9%、Tg 9.0%(10%減少)、上腕骨骨端軟骨ではWT 7.2%、Tg 6.7%(7%減少)のBrdU陽性率が観察された。わずかであるがTgマウスにおける細胞増殖活性の低下が観察されている。→Apert変異型FGFR2の発現は軟骨細胞の分裂活性を低下させる。 (5)Laser Captured Microdissection法(LMD法)によるとリアルタイムPCR法を利用したFGF遺伝子群、軟骨発育・分化関連遺伝子群の発現解析を進行中である。現時点で結果は得られていないがプロトコール作成はおおむね完了した。 (今後の指針) 軟骨の形成と石灰化の制御に関与する分子群:2型及び10型コラーゲン、ALP、Cbmal、PTHrP、PTHR、Ihh、PCNAに対する変異FGFR2の影響を検討することが必要と考えられた。及び結果として生ずる頭蓋と四肢の反応の比較を行う。これらの分子群との関連を吟味する必要がある。これらの目的においてLMD法は極めて有用である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Amizuka, N., Seki, Y., Maeda, T.: "Ultrastructural findings on bone metastasis of tumor cells. 12(6) : 2002"Clinical Calcium. 12. 137-145 (2002)
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[Publications] 藤田 一, 永田昌毅, 小野和宏, 高木律男: "日本人唇裂・唇顎口蓋裂患者における19q13.2領域のマイクロサテライト多型を用いた連鎖解析"口腔科学会誌. 51(1). 15-22 (2002)