2003 Fiscal Year Annual Research Report
口腔白板症に対する合成ビタミンD誘導体を用いた分化誘導療法の開発
Project/Area Number |
14571896
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
伊賀 弘起 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40175188)
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Keywords | 口腔白板症 / ビタミンD誘導体 / 分化誘導療法 |
Research Abstract |
口腔白板症は、高率に口腔癌に移行する難治性の前癌病変であるが、外科的切除以外に有効な治療薬がなく、より有効で安全な治療法の開発が望まれている。すでに皮膚科領域においては病理組織学的に口腔白板症と類似した乾癬に対してビタミンD誘導体である22-oxa-1α,25-dihydroxyvitamin D_3 (OCT)が上皮細胞の増殖を抑制し、分化を誘導することが報告されている。そこで本研究では、口腔白板症に対する新しい治療薬の開発を目的に、OCTの口腔粘膜に対する影響を検索した。 口腔白板症患者より採取したケラチノサイトと線維芽細胞におけるビタミンD受容体(VDR)、レチノイン酸受容体のサブタイプであるRXR、transcriptional coactivatorであるTIF2の発現をRT-PCRおよびウエスタンブロット法にて検索した結果、いずれの細胞にもその発現が認められた。またケラチノサイトと線維芽細胞の増殖におよぼすOCTの影響をMTT法にて検索した結果、10^<-7>〜10^<-9>MのOCTで濃度依存的にその増殖が抑制され、口腔白板症が臨床的にOCTの標的となりうることが示唆された。 さらに一部のケラチノサイトでは終末分化マーカー(インボルクリン、サイトケラチン(K1,10))の発現増強がみられ、OCTがケラチノサイトの分化を促進する可能性が示唆された。一方、口腔白板症の組織切片に対してin situハイブリダイゼーションを行ったが、VDR、RXRαおよびTIF2 mRNAの発現とその組織型に明らかな関連性は認められなかった。しかし本研究の結果は、OCTが臨床的に口腔白板症の治療薬になりうる可能性を示唆しており、今後も解析を継続し、臨床試験へ移行する予定である。
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