2002 Fiscal Year Annual Research Report
GFP導入口腔癌細胞を用いた分子標的薬による浸潤転移抑制治療の開発
Project/Area Number |
14571906
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
奥村 一彦 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (60194510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒川 俊哉 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (40306254)
安彦 善裕 北海道医療大学, 歯学部, 助教授 (90260819)
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Keywords | GFP導入口腔癌細胞 / 浸潤転移機構 / 頸部リンパ節転移 |
Research Abstract |
口腔扁平上皮癌では,臨床的に初診時での頸部リンパ節転移は,約50%前後認められる.また,転移がみられないN0症例についても潜在的頸部リンパ節転移が約30%存在することが知られている.これらの転移症例について,現状の手術療法による救済治療は限界がある.そこで,本研究は口腔扁平上皮癌の局所浸潤と頸部及び遠隔転移に対する浸潤転移抑制による転移予防効果,さらに形成された転移巣に対する抗腫瘍効果について,分子標的薬による治療を開発することを目的としている. 材料と方法:ヒト舌扁平上皮癌原発巣から樹立したSAS細胞から得られた,高浸潤性クローンSAS-H1細胞と低浸潤性クローンSAS-L1細胞を用いた. (1)Green Fluorescent protein (GFP)発現遺伝子の導入:2つの細胞株に,GFP発現遺伝子pEGFP-Cベクター(Clontech)をリポフェクション法により導入し,G418で高発現細胞を選択して安定したGFP発現癌細胞を得る. (2)In vivo転移実験の確立:得られたGFP高発現癌細胞を,2X10^5cells/200μl in PBSでKNSヌードマウスの舌側縁に注入し同所移植を行った. 結果:(1)G418の濃度を400-800μg/mlに調整し,細胞を選択した.これによりGFP高発現癌細胞を得た.ヌードマウス舌に賀来癌細胞を同所移植後21日目に屠殺し,蛍光実体顕微鏡で観察した結果,舌にSAS-H1では6mm径,SAS-L1では4mm径の腫瘍形成が確認された.同時に頸部リンパ節転移を検索するとSAS-H1では,90%に顎下リンパ節転移を認め,対側頸部転移もみられた.一方,SAS-L1では30%に顎下リンパ節転移が認められたが,対側転移例はみられなかった.また,顕微鏡観察で,GFPの緑色蛍光は21日後でも減弱することはなかった.次ぎに原発部位の組織の凍結切片を作製し,局所浸潤を蛍光顕微鏡さらにHE染色標本で観察したところ,SAS-H1では,局所浸潤傾向が強く,SAS-L1では腫瘍胞巣を形成して拡張性の発育傾向がみられた. なお,本年度予定していた血中循環癌細胞数の検索は,まだ着手することが出来なかったため,次年度に続けて行うこととした.
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