2003 Fiscal Year Annual Research Report
小児の声と共鳴の発達に関する研究:健常児と口蓋裂児の比較
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14571923
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
磯野 信策 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 助教授 (10168289)
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Keywords | Nasometere II / Sona-Speech / 鼻腔共鳴度 / 声の基本周波数 / フォルマント / 健常幼児 / 唇顎口蓋裂幼児 / 嗄声 |
Research Abstract |
健常児および口蓋形成術後の唇顎口蓋裂児を対象として、開鼻声ならびに閉鼻声を指標とした鼻腔共鳴度、声の基本周波数、声質を、前年度購入したNasometer II【○!R】およびSona-Speech【○!R】を連動させたシステムを用いて計測し、あわせて、聴覚判定による構音検査を実施して両群間で比較検討を行った。 対象は、健常児ついては昨年度資料を収集した健常年長幼児260名とし、術後唇顎口蓋裂児は新潟大学医歯学総合病院歯科言語治療室を通院中の幼児45名とした。 検査項目は以下とした。 1.『ことばのテスト絵本』:テスト1(言語理解検査)、テスト2(囁語検査)、テスト3(構音検査) 2.Nasometer^<【○!R】>による鼻腔共鳴度(nasalance)評価:独自に開発した音節・文章復唱検査を実施した。 3.Sona-Speech^<【○!R】>による声の評価:上記2との同時測定および母音/e/の持続発声を採集し、声の基本周波数と母音のフォルマント(F1,F2)周波数を測定し、嗄声を示すものではその音響特性の抽出を試みた。 その結果、『ことばのテスト絵本』テスト1にて言語理解が3歳相当レベルに達していないものは健常幼児が1名(0.4%)で、唇顎口蓋裂児では1名(2.2%)、中〜重度聴力損失を示すものは健常幼児12名(4.6%)、唇顎口蓋裂児3名(6.7%)、構音障害は健常幼児10名(3.8%)に対して唇顎口蓋裂児では25名(55.5%)であった。Nasometer^<【○!R】>による鼻腔共鳴度評価では、健常幼児は聴覚印象で開鼻声(0名)あるいは閉鼻声(18名)が認められたもの以外での文章検査の平均nasalanceは32.5%で、そのうち通鼻音を含まない文章では22.3%であったのに対して、唇顎口蓋裂児では開鼻声が認められた10名を除いた平均nasalanceは38.5%と有意な差が認められた。開鼻声例では平均は45.5%であった。声の基本周波数とF1,F2の周波数分布は健常幼児と唇顎口蓋裂児で差は認められなかった。
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