上気道拡大反射機構の解明と気道閉塞性の定量測定に関する実験的研究

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 14571928
• Research Institution: Osaka Dental University
• Principal Investigator: 小谷 順一郎 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (40109327)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 杉岡 伸悟 大阪歯科大学, 歯学部, 助手 (90278573)
• Keywords: 上気道 / 咽頭腔圧 / 筋電図 / オトガイ舌筋 / CO_2 / negative pressure airway reflex

Research Abstract

オトガイ舌筋(GG)は、上気道拡大作用筋の1つであり、上気道維持機構としてその開通性を調節する作用がある。本研究は、上気道拡大反射機構の解明を目的として、家兎の上気道分離モデルを作製し、咽頭腔にのみ陰圧を負荷した場合のnegative pressure airway reflex (NPAR)としてのGG活動の変化と、二酸化炭素(CO_2)を咽頭腔に暴露した場合の影響を検討した。
実験は、気管切開孔を介して自発呼吸で麻酔を維持し、鼻腔・口腔・咽頭腔で1つの閉鎖腔となるようなモデルを作製した。脱気用吸引ポンプを用いて咽頭腔に20cmH_2O以下の陰圧負荷を与え、その時のGGの筋電図を記録し、圧変化に同期する筋活動をとらえNPARの有無と大きさを定量化するようにした。その後、以下の2実験を行った。
実験1:咽頭粘膜表面麻酔によるNPARの変化
実験2:上気道へのCO_2暴露時のNPARの変化とmethazolamide (MZ)の影響
その結果、実験1では、1%lidocaineによる咽頭粘膜表面麻酔下では、GG筋活動は顕著に抑制され、NPARの末梢受容器が咽頭粘膜内に存在することを示唆した。実験2では、CO_2暴露により筋活動が抑制されたが、MZ投与により抑制が解除された。この時の咽頭粘膜組織pHを検討すると、MZ投与時の方がpH低下度は小さかった。
以上の結果より、GGの筋活動の増幅は咽頭粘膜に存在する圧受容器を介する反射機構であることが明らかとなり、同時にCO_2 sensitive receptorの存在も示唆された。MZはCO_2暴露により生じる局所H^+の発生を抑制すると考えられ、NPARのCO_2による抑制機序は、上気道粘膜内に存在するmechanoreceptor周辺のpH変化に起因することも否定できないことが明らかとなった。

Research Products

• [Publications] 釜田 隆, 小谷順一郎, 上田 裕: "オトガイ舌筋活動からみた上気道開通性の定量測定とセボフルランの影響"日本歯科麻酔学会雑誌. 30(1). 16-26 (2002)
• [Publications] 松田佳子, 釜田 隆, 村田賢司, 小谷順一郎: "咽頭腔内CO_2暴露下でのnegative pressure airway reflexに対するmethazolamideの影響"日本歯科麻酔学会雑誌. 31(4). 455 (2003)