2004 Fiscal Year Annual Research Report
消化管で発生する悪臭の呼気移行-同時に発生する水素を指標とした口臭評価法の開発
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14571934
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩倉 政城 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (90005067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 健吾 新コスモス電機研究所, 主任研究員
井川 恭子 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (40241640)
丹田 奈緒子 東北大学, 病院・医員
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Keywords | 口臭 / 半導体センサ / 水素 |
Research Abstract |
器機による客観的な口臭測定法は、揮発性硫黄化合物(VSC)を指標にガスクロマトグラフィやセンサ型を用いる方法が、世界的な標準である。とはいえ官能検査で糞臭、アミン臭、チーズ臭等の悪臭があるにもかかわらず、従前の機器解析では検出されない例があり、口臭科学のネックであった。そのためVSC以外の悪臭成分を、ガスクロマトグラフィで種々の検出器による測定を試みたが、いずれも検出限界に達せず臨床検査法としては確立できなかった。我々はこれら糞臭、アミン臭などの発生源は、一部、口腔にあるが、多くが腸管内嫌気分解で発生したガスが血流中に溶出し、肺から呼気中に排出される点に着目した。腸管内嫌気性分解過程は還元性で副成物に、水素ガスが含まれると判断した。これを呼気から検出することで、腸管由来の悪臭の量を代表できる可能性を検討した。 水素特異性の高い半導体センサを用いて、口内気体水素検出器を開発した。しかし口内気体中には100種を超す水素化合物が含まれ、水素のみの検出が困難なことからカラムを用いたガスクロマト方式で成分分離を行いリテンションタイムで水素ピークを拾う方式とし、キャリアガスに空気を用い、コンピュータ制御で操作する口内気体中水素検出器を完成させた。 ヒトの口内水素濃度は1〜200ppmの範囲内で、検出感度、検出幅共に実用に耐えるものであった。これを用いて野外及び外来患者に同意を得てセンサ型測定器(ブレストロン)の値、消化管症状などについて解析を加えた。その結果(1)水素とVSC濃度との間には明瞭な相関は認めなかった。(2)消化管に不調を訴える者の水素濃度が高い傾向を示した。(3)消化管症状の不調とVSCは特定の傾向を見いだせなかった。口腔の汚れとVSCとの間に診られる相関は水素では見いだせなかった。以上から口内気体から検出される水素の主な由来は口腔では無く、消化管からであることが示唆され、口臭測定の有用な一指針となる可能性を見出した。
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Research Products
(1 results)