2002 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクスの手法を用いた感染性心内膜炎の発症成立機構の解明
Project/Area Number |
14571953
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山口 登 九州大学, 歯学部附属病院, 助手 (00230368)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舛廣 善和 九州大学, 歯学研究院, 助手 (00336083)
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Keywords | 歯周病細菌 / ヒト血管内皮細胞 / プロテオミクス / 炎症性サイトカイン / ロイコトキシン / アポトーシス / インテグリン / カスパーゼ |
Research Abstract |
歯周病細菌が生体組織へ付着または侵入するメカニズムを解明するために、プロテオミクスの手法を用いて、A.actinomycetemcomitans(Aa)を感染させたヒト血管内皮細胞より誘導、産生されるタンパク質の解析を行なった。その結果、数種類の炎症性サイトカインが誘導されている可能性が示唆された。 次に、炎症性サイトカインと免疫担当細胞の相互作用に着目した。Aaのロイコトキシン(Ltx)は、細胞表層にβ2インテグリン(CD11a/CD18)を発現するヒトの細胞をターゲットとする。そこで、炎症性サイトカインでヒト前骨髄芽球細胞(HL-60)を処理後、CD11a/CD18のmRNAおよびタンパク質の発現着を解析した。また、炎症性サイトカインで前処理した細胞をLtxで1時間刺激後、フローサイトメトリーでミトコンドリアの膜電位変化、活性酸素産生能、caspase-3活性を測定した。ノーザンブロット分析により、TNF-αおよびIL-1βは、5分間以上HL-60細胞を刺激すると顕著にCD11a mRNAの発現量を増加したが、CD18 mRNAの発現量に変化は認められなかった。TNF-αおよびIL-1βは、濃度依存的にCD11aのレセプタータンパク質の産生を促進したが、CD18には顕著な差は認められなかった。TNF-αで前処理後、Ltxで刺激するとLtx単独で刺激した場合と比較して有意にミトコンドリアの膜電位が低下、そして活性酸素産生量が増加していた。さらに、Ltx単独で刺激した場合と比較して有意にcaspase-3活性を促進した。本研究では、炎症性サイトカインがヒトβ2インテグリンの発現を増強し、Ltxによる標的細胞のアポトーシスをさらに促進することを示した。これら知見は、炎症性サイトカインがAaのLtxによる病原性を亢進し増悪因子として機能している可能性を示唆するものである。
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