2004 Fiscal Year Annual Research Report
齲蝕下乳歯象牙質の微小硬度と弾性率がレジンの接着性に及ぼす影響
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14571955
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
細矢 由美子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (80112803)
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Keywords | 乳歯 / 齲蝕下象牙質 / 健全象牙質 / 微小硬度 / 弾性率 / 微小引張接着強さ / 接着性レジン / 接着試験用Jig |
Research Abstract |
研究の目的: 乳歯象牙質の微小硬度と弾性率がレジン接着性に及ぼす影響を齲蝕下乳歯象牙質と健全乳歯象牙質間で比較する。 平成16年度の研究結果: 1.齲蝕下乳歯象牙接着面に対する微小硬度と弾性率の測定と健全歯群との比較:齲蝕症第2度の乳歯17歯にself-etching priming/bonding systemのClearfil MegaBond(MB群,クラレ社)とetching/bonding systemのSingle Bond(SB群,3M社)を応用し,接着面に対する硬さとヤング率をnano-indentation testerで測定した。また,接着界面をSEMで観察した。(1).接着界面より下方の象牙質と比較し,接着界面の象牙質の硬さは,齲蝕群では有意に高く,健全群では有意差がなかった。一方,ヤング率は,健全・MB群と齲蝕・SB群では有意に低く,齲蝕・MB群と健全SB群では有意差がなかった。 2.健全並びに齲蝕下象牙質に対する微小引張り接着強さ(MTBS):健全乳臼歯5歯と齲蝕症第2度の乳臼歯11歯の象牙質に対するMB応用時のMTBSを測定し,破断面をSEMで観察した。(1).MTBSの平均値(標準偏差値)は,健全群が8.9(6.3)MPa,齲蝕群が9.2(6.1)MPaであり,両群間に有意差はなかった。(2).破壊形態は,レジンの凝集破壊を主体とした混合破壊が,健全群の67.4%と齲蝕群の76.8%にみられた。 3.まとめ:健全乳歯群と比較し,齲蝕乳歯群の接着界面の形態は複雑でHybrid層も厚かったが,両群ともに接着強さは低く,etchingもしくはpriming後の象牙質の弾性率は,接着性レジン塗布により回復されていない場合があった。乳歯象牙質接着界面の物性は,既報の永久歯の場合とは異なっており、永久歯用に設定されている接着性レジンシステムの使用法は、乳歯に対して最適ではないと推察する。
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Research Products
(2 results)