2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14571965
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
時安 喜彦 明海大学, 歯学部, 助教授 (20163967)
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Keywords | セメント芽細胞 / エナメルマトリックスプロテイン / 石灰化結節 |
Research Abstract |
小児歯科領域では幼若永久歯が治療の対象となる場合が多く,歯の脱臼や歯内療法が必要なケースでは歯根の閉鎖を念頭に入れて治療を行う必要があり,予知性の高い予後を得ることを目的に歯の発育,とくに歯根形成中のセメント質に焦点を当て研究を進めている。歯根形成中のセメント質においてエナメルマトリックスプロテイン(EMP)が関与しているとされている。マウスから得られたセメント芽細胞株(OC-CM)にEMPを作用させたところ,EMPは細胞の増殖を促進し,石灰化を抑制するという興味ある結果が得られた。EMPをセメント芽細胞に異なった時期に作用させた場合の効果について検討した。マウスから得られたセメント芽細胞に3種類の濃度のEMP(100μg/ml,50μg/ml,5μg/ml)を作用させ8日間培養を行ったところ,EMP100μg/ml添加群が優位に増殖を促進する傾向が認められた。また、EMP100μg/mlを培地にday0,day2,day4,day6の時点で添加し、48時間のみ作用させた群と,day0から終日(8日目)までに添加した群を比較するとday4,day6にEMPを添加した群が優位に増殖を促進する傾向がみられた。EMP添加後8日目にVon Kossa染色を行い石灰化結節の形成を比較したところ,day0,day2,day0〜終日EMP添加群では100μg/mlの濃度では石灰化結節の形成が抑制される傾向が認められたが,day4,day6にEMPを添加した群では石灰化結節の形成が抑制される傾向は認められなかった。同様にEMP(100μg/ml)処理したセメント芽細胞をSCIDマウスの背部に移植後6週の所見ではPositive controlとほぼ同様な石灰化がみられた。セメント芽細胞に3種類の濃度のEMP(100μg/ml,50μg/ml,5μg/ml)を作用させ8日間培養を行い、ノーザンブロットにてm-RNA(Osteopontin : OP, Osteocalcin : OCN, Type I Collagen : Col I, Bone Sialoprotein : BSP)の発現をみたところ、5%FCS含有DMEM培地にEMP(100μg/ml)のみ添加群ではOCNの発現が著明に抑制されていた。EMP(100μg/ml)および石灰化促進supplement添加群ではOCNの発現にはほとんど差はみられなかった。EMP100μg/ml,50μg/ml,5μg/ml添加群を比較したところ、5μg/ml添加群より100μg/ml添加群の方がOCNの発現はやや抑制傾向がみられた。EMPを異なった濃度やタイミングでセメント芽細胞に作用させると条件によっては異なった反応がみられることが示唆された。
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