2003 Fiscal Year Annual Research Report
歯石形成歯周炎ラットモデルにおける歯周病原菌の定着と炎症の推移
Project/Area Number |
14571976
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
遠藤 英昭 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (80168830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠田 壽 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80014025)
島内 英俊 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (70187425)
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Keywords | 実験的歯周炎 / 歯石形成 / Porphyromonas gingivalis |
Research Abstract |
慢性の成人性歯周炎に類似した動物実験モデルを作成するために、ラットに歯石を付着させるための飼育条件を検討した。また、歯周病原菌であるPorphyromonas gingivalisを接種して歯周炎が引き起こされるかどうかを病理組織学的に検討した。動物にはWistar系雄性ラットを用い、抗菌剤を初期に投与して病原菌を除去し、飼育を開始した。食餌は、Brinerらの開発したRC-16-5を参考に、燐酸・カルシウム・マグネシウムを強化した粉食とし、水は滅菌蒸留水とした。飼育開始2週目から、歯石の付着が観察され、4週目には付着歯肉を覆うまで形成された。初期には、歯の裂溝部に見られるだけであったが、4週目には第一臼歯の近心、第三臼歯の頬側遠心部に顕著な付着が見られた。その他の部位でも、歯肉溝部を中心に歯冠長の1/8-1/2を覆うまで形成された。この段階で、歯周病原菌であるPorphyromonas gingivalisを経口接種して、その定着と歯肉の炎症状態を観察した。培養によるPorphyromonas gingivalisの検出では陰性であった。採取した顎骨を脱灰後、通法に従って包埋し、約5μmの連続切片を作ってヘマトキシリン・エオジン染色を行った。その切片を観察したところ、歯石の付着が顕著に見られるにもかかわらず、それに接した歯肉上皮部には炎症性細胞浸潤は見られなかった。局所で炎症の原因となりうる歯石が付着しても、常在菌が歯周病原菌より優勢な場合には、炎症が生じないことが分かった。このような動物モデルでは、局所だけでなく、全身的な要因が歯周炎発症に重要な因子であることが推察される。
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