2003 Fiscal Year Annual Research Report
固定化細胞増殖因子を応用した歯周組織再生療法開発のための基礎的研究
Project/Area Number |
14571981
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
池澤 一彦 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (80294114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野崎 剛徳 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (30263304)
島袋 善夫 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (50231361)
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Keywords | 歯根膜細胞 / 固定化細胞増殖因子 / 歯周組織再生療法 / FGF-2 / ヘパリン親和性 / マトリクライン / パラクライン |
Research Abstract |
塩基性線維芽細胞増殖因子(FGF-2)、牛胎児血清(FCS)、インシュリン様細胞増殖因子-I(IGF-I)のレセプター認識部位を含む合成ペプチドをプレートに固相化し、その上で培養したヒト歯根膜由来細胞(HPDL)への影響を検討した。すなわち、光反応基と共有結合させた各種増殖因子を培養プレート面に紫外線照射により固相化し、その上で培養したHPDLの増殖やアルカリフォスファターゼ(ALPase)活性に対する影響を検討した。固相化されたFGF-2およびFCS上ではHPDLのDNA量が有意に増加し、ALPase活性が著明に減少した。これらの結果は、固相化されたFGF-2およびFCSが可溶化された場合と同様に、HPDLの増殖を促進し、分化を抑制することを示している。一方、固相化されたIGF-Iのレセプター結合部位を含む合成ペプチド上ではHPDLは、その増殖やALPase活性に関して影響を受けなかった。この合成ペプチドは、可溶化された状態ではHPDLに対して増殖促進活性を示さなかったため、固相化しジャクスタクライン様のシグナルを入れることにより活性を示すことが期待されたが、IGF-Iレセプター結合部位22アミノ酸からなる合成ペプチドでは結合様式に関わらず活性を見出すことは出来なかった。今回の結果より、固相化されたFGF-2やFCSは可溶化されたこれら因子のパラクライン作用と同様の影響を及ぼすことが明らかとなったが、固相化細胞増殖因子の定量が難しいことから固相化、可溶化いずれの細胞増殖因子がより効率的にシグナルを伝えるかについては比較検討が方法論的に困難である。また、歯周組織再生療法への応用を念頭に入れ、根面に固相化する細胞増殖因子のコスト面を考慮すれば、固相化の効率化などクリアせねばならない問題は多い。IGF-Iの部分アミノ酸合成ペプチドの固相化は、コスト面の打開策になるため本研究で試みられたが、活性を誘導することが出来なかった。活性誘導に必要なレセプター結合部位以外のアミノ酸配列やその3次元構造に関する解析の必要性を示唆している。
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