2003 Fiscal Year Annual Research Report
PFG-NMR法による機能性錯体・高分子および生体分子の会合構造に関する研究
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14571995
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
関 宏子 千葉大学, 分析センター, 助手 (60114245)
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Keywords | PFG-NMR / CSI-MS / 分子拡散 / 水素結合 / 連鎖構造 / ステロイド化合物 / X線解析 |
Research Abstract |
溶液中の水素結合による連鎖構造を解明する目的で、生理活性を有するステロイド化合物について、単結晶X線解析・コールドスプレー質量分析法(CSI-MS)・PFGーNMR法(特に拡散係数から得られる情報)を用いて研究を行った。この結果、プロゲステロンのように、水素結合を形成する置換基(水酸基等)を持たない化合物のCSI-MSスペクトルは2および3量体が観測されるものの連鎖構造は確認できない。また単結晶X線解析より結晶内の分子間相互作用は観測されない。これに対し、コルチゾンでは13量体を超える大きな連鎖会合体がCSI-MSで観測され、さらに結晶構造においても分子間水素結合による連鎖構造が確認できた。この結果に基づき溶液中における連鎖構造の形成を確認するためPFG-NMR法でパルスシーケンスとしてBPP-STE法を用いて拡散速度係数を求めたところ、プロゲステロンでは6.98x10^<-10>m^2/S、コルチゾンでは5.58x10^<-10>m^2/Sであった。この結果からCSI-MSで連鎖会合体の形成が示唆される分子は拡散係数が小さくなる、すなわち拡散速度が遅くなることが証明された。分子量の異なる極性官能基(水酸基やカルボキシル基)を持たない化合物でキャリブレーションを行い、計算から求めた分子半径と拡散係数の相関について数種のステロイド化合物と比較した結果、この数値の正当性が確認され、本手法により水素結合の有無の検証ができることが明らかとなった。しかしながらNMRで水素結合によるクラスターの保持力を拡散係数から厳密に区別することは困難であることがわかった。さらに対象を広げグルコース等についても検討した結果、溶液連鎖構造を持つものと持たないものを同一溶液中で比較した場合、同じ拡散測定で2次元に展開したDOSY法が有効であることがわかった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] H.Utsumi: "Segment Identification of a Ligand binding with a Protein Receptor Using Multidimentional T_<1□^->, Diffusion-Filtered and Difufusion-Ordered NOESY Experimentas"Anal.Sice.. 19. 1441-1443 (2003)
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[Publications] K.Shikii: "Narcissistic aggregation of steroid compounds in diluted solution elucidated by CSI-MS, PFG NMR and X-ray analysis"Tetrahedron. 60. 3487-3492 (2004)
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[Publications] Y.Sei: "Observation of Waters Bound to a Protein Using Temperature Dependent Cold-Spray Ionization Mass Spectrometry"Angew.Chem.Int.Ed., revised Manuscript (No. Z 53918). (2004)