2002 Fiscal Year Annual Research Report
リパーゼTLによる光学分割を鍵反応とする生理活性天然物の合成及び構造活性相関研究
Project/Area Number |
14572014
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
青柳 裕 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (70212389)
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Keywords | リパーゼTL / 速度論的光学分割 / 抗腫瘍活性 / GE3 / ヘキサデプシペプチド / グリセロール / 光学活性ピペラジン酸 / 低温活性酵素 |
Research Abstract |
1)リパーゼTLを用いた各種2級アルコールの光学分割:両端の1級水酸基に異なった保護基を導入したグリセロールと1,2,5-トリヒドロキシペンタン誘導体を基質とし、それらの2級水酸基への速度論的トランスエステル化反応をリパーゼTLを用いて検討した。その結果、ヘキサン中、ピリジンを5当量添加し反応を行ったところ、グリセロール、2-ペンタノール誘導体のいずれの場合も、(R)-アセテート、(S)-アルコールを高光学純度で定量的に得ることが出来た。尚、2-ペンタノールの場合、反応温度を-5℃とすることにより、収率を低下させることなく、光学純度の向上が観測された。このことはリパーゼTLが低温でも酵素活性を発現するユニークな低温活性酵素である可能性を示唆した。2)異常アミノ酸ピペラジン酸の両鏡像体の不斉合成:光学活性2-ペンタノール誘導体及びそのアセテートを用いて抗腫瘍活性ヘキサデプシペプチドGE3の構成異常アミノ酸であるピペラジン酸の両鏡像異性体の不斉合成を検討した。まず、(R)-アセテートから誘導されたアルコールの分子内光延反応により環化生成物を得た。更に、側鎖の変換を行い、3種の異なった保護基が導入された(S)-ピペラジン酸の不斉合成に成功した。一方、(S)-アルコールからも、(R)-ピペラジン酸に誘導出来た(市販の4-ペンテン-1-オールから15工程、通算収率22%)。3)抗腫瘍活性ヘキサデプシペプチドの合成検討:GE3の抗腫瘍活性発現に必要な環状ヘキサデプシペプチドの合成を検討した。ピペラジン酸以外の4つの構成アミノ酸の合成、更には、それらのセグメントの縮合を行い、現在2種のジペプチドを得ている。今後、セグメントの伸張、マクロラクトン化反応を経てGE3のコア部分の合成を達成する予定である。又、生理活性スフィンゴシンの合成は、光学活性グリセロール誘導体を利用する予定である。
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