2002 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性ペプチドの、C-末端アミド化が及ぼす構造化学的影響の解明
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14572041
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
尹 康子 大阪薬科大学, 薬学部, 助手 (50257896)
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Keywords | C-terminal amidation / molecular conformation / X-ray analysis / crystal structure / NMR / solution conformation / molecular modeling calculation |
Research Abstract |
以前より生理活性ペプチドのC-末端アミド化の重要性及びその意義を解明する為に、X-線結晶構造解析、NMRによる溶液構造解析、分子動力学計算等の手法を駆使してC-末端のアミド基とカルボキシル基の構造化化学的な変化、特に分子コンフォメーションや隣接分子との相互作用、分子間水素結合様式に関して詳細に比較し、それらの差異を解明する研究を進めている。そこで今年度は一連の研究に用いる、オピオイドμ-レセプターに対して極めて高い親和性を持つ内因性ペプチドの1つであるendmorphin-2(Tyr-Pro-Phe-Phe-NH2)とそのフリー体(Tyr-Pro-Phe-Phe-OH)の固相法による大量合成、結晶化、trinuoroethylalcohol(TFE)中での一次元及び二次元NMRの測定を行った。現在までのところX-線結晶解析が可能な単結晶が得られておらず今後は引き続き結晶化を行うと共に、TFE中でのコンフォメーション解析、膜環境下でのNMRの測定等を計画している。 又、本研究課題に密接に関連した研究の一環として一連のC-末端がアミド化されたジペプチド(Val-Gly-NH2,Ser-Phe-NH2,Gly-Tyr-NH2,Pro-Tyr-NH2)の塩酸塩と、C-末端がカルポキシル基のフリー体のものとについて結晶構造を比較した。分子コンフォメーションは両者ともに優位な差は見られずいずれもエネルギー的に安定な構造を取っていたにもかかわらず、C-末端と隣接分子との相互作用及び水素結合様式に関しては顕著な差が見られた。既に報告しているようにアミド体はCl^-が隣接分子のアミド基間で'head-to-head'型の水素結合を形成しているのに対し、フリー体は隣接分子のアミド基とカルボキシル基との間で'head-to-tail'型の水素結合を形成していた。更に水素結合様式を、それに関与する極性原子及び官能基の相対配置を基に考察した結果、水素結合能に関してアミド体はアミド基の方が、フリー体はケト基の方がより強いということが明らかとった。更にペプチド分子の会合様式はC-末端アミド化やCl^-の様な生物学的アニオンの共存で大きく変化するのでなないかということが示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Yasuko In: "Structural Studies on C-Amidated Amino Acids and peptides : Function of Amide Group in Molecular Association in Crystal Structures of Val-Gly-NH2, Ser-Phe-NH2, Gly-Tyr-NH2 and Pro-Tyr-NH2 Hydrochloride Salts"Chemical and pharmaceutical Bulletin. 50(5). 571-577 (2002)