2002 Fiscal Year Annual Research Report
非神経組織における神経栄養因子およびその受容体の発現・機能の検討
Project/Area Number |
14572058
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
根本 清光 静岡県立大学, 薬学部, 助手 (90189366)
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Keywords | 神経栄養因子 / 遺伝子発現 / 非神経組織 / 環境化学物質 / 肝部分切除 / 癌細胞 / 精巣 |
Research Abstract |
NGF、BDNF、NT-3を代表とする神経栄養因子は、最近、非神経組織でも重要な役割を果たすものと考えられるようになってきた。しかしながら、非神経組織での神経栄養因子とその受容体の発現機構の解明や機能解析は、神経組織に比べ未だ大きく立ち遅れている。本研究では、非神経細胞培養株や、ラット、マウスの非神経組織での神経栄養因子や受容体の発現様式を検討することなどにより、非神経組織での神経栄養因子の役割を追究することを目的とした。 本年度は、1.40種のヒト癌細胞株、および5種のヒト正常組織由来細胞株において、神経栄養因子(NGF、BDNF、NT-3)、受容体(TrkA、TrkB、TrkC、低親和性受容体)の遺伝子発現を検討した。次年度以降、この結果に基づき、それぞれの細胞の神経栄養因子に対する応答性を、増殖能等で評価するとともに、アンチセンスやRNA干渉などにより、神経栄養因子や受容体の発現をブロックすることで、どのように細胞機能が変化するかを検討し、それぞれの細胞に対する神経栄養因子の役割を推定することとする。 2.ラットの部分肝切除を行い、肝再生過程での各種神経栄養因子および受容体の遺伝子発現を検討した。その結果、BDNFの著しい発現上昇が切除後30分で見られ、肝再生にBDNFの関与が期待された。 3.強い精巣毒性を示す塩化カドミウムを、ラット・マウスに投与し、経時的に精巣での神経栄養因子および受容体遺伝子の発現をRT-PCRで検討し、数種の遺伝子において発現の変動が見られた。このことから、カドミウムの精巣毒性発現に神経栄養因子および受容体の発現変動が、密接に関わる可能性が考えられ、今後、この点をさらに精査するとともに、内分泌攪乱物質を含めた環境化学物質についても検討する予定である。また、精巣機能発現への神経栄養因子の関わりについても評価する予定である。
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