2004 Fiscal Year Annual Research Report
非神経組織における神経栄養因子およびその受容体の発現・機能の検討
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14572058
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
根本 清光 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (90189366)
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Keywords | 神経栄養因子 / Trkファミリー / 低親和性神経栄養因子受容体 / 精巣毒性 / 塩化カドミウム / 遺伝子発現 / 非神経組織 |
Research Abstract |
【目的】これまでの本研究課題による研究から、神経栄養因子が精巣の成熟過程やカドミウムの精巣毒性発現過程で重要な役割を果たす可能性を示してきた。特に、塩化カドミウム(Cd;5〜20μmol/kg体重)を投与した7週齢の雄性SDラットの精巣での神経栄養因子(NGF、BDNF、NT-3)およびその受容体(TrkA、TrkB、TrkC、LANR)の遺伝子発現を検討したところ、組織傷害や精巣構成細胞特異的発現遺伝子の発現低下が顕著に認められる15μmol/kg体重以上の投与量でそれら遺伝子の発現が変動することを見いだしたため、本年度は、それら発現変動に週齢差があるか否かを検討した。【方法】3、7および12週齢雄性SDラットにCd(5、10、15あるいは20μmol/kg体重)を単回皮下投与し、96hr後に精巣を摘出し、総RNAを調製した。RT-PCR法により神経栄養因子およびその受容体遺伝子、精巣構成細胞特異的発現遺伝子(Sertoli細胞:FSHR、Leydig細胞:LHR、精母細胞:TH2B、P19、精子細胞:TP1、TP2)の発現を検討した。【結果、考察】12週齢のラットでは、10μmol/kg体重以上の投与量でNGF、BDNFの発現上昇と受容体(TrkB、TrkC、LANR)および精巣構成細胞の特異的発現遺伝子の発現低下が見られた。一方、3、7週齢ラットでは、これらの発現変動は15μmol/kg体重以上の投与量で見られた。これら発現変動の相違から、Cdの精巣毒性に対する感受性には週齢差があることが示唆された。ラットの精子形成は、3週齢付近で開始され、10週齢付近で完全になるとされており、精巣の成熟度合いがCdの毒性発現に重要であることが考えられた。今後、神経栄養因子の精巣成熟過程での役割とCdの精巣毒性発現機構との関連性を明らかにすることが重要であると考えられる。
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