2002 Fiscal Year Annual Research Report
4-ヒドロキシノネナールエナンチオマーの細胞毒性と解毒代謝における立体選択性
Project/Area Number |
14572071
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
平塚 明 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (20165179)
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Keywords | 4-ヒドロキシノネナール / エナンチオマー / 細胞毒性 / グルタチオンS-トランスフェラーゼ / 立体選択性 / Clone 9 / ラット / 肝 |
Research Abstract |
既に筆者は、生体内酸化ストレス時にラセミ体として生じる4-hydroxy-2(E)-nonenal(4-HNE)が、解糖系酵素のglyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase(GAPDH)を不可逆的に阻害し、そしてその阻害効果に4(S)>4(R)の立体選択性が認められること、さらにラット肝のマイナー分子種であるglutathione S-transferase (GST) A4-4が、GAPDH阻害作用の強い4(S)-HNEを優先的にGSH抱合解毒する事を明らかにし報告した。 本年度の研究計画に従い、4-hydroxy-2(E)-nonenal(4-HNE)エナンチオマーの細胞毒性の立体選択性ならびにその解毒代謝について検討し、下記の1)および2)の研究成果をあげることができた。 1)Clone 9細胞に対する細胞毒性は、4(S)-体が4(R)-体より強力であり、この差がアポトーシス誘導効果の差(4(S)>4(R)-体)に起因することを明らかにした。 2)Clone 9細胞は、ラット肝とは異なり4-HNEの主要解毒酵素であるrGSTA4-4を発現しない細胞株であることが、同細胞中のGST分子種組成をimmunoblot法を用い検索する事により初めて明らかとなった。 以上の結果は、生体における酸化ストレス下で生成する過酸化脂質由来の4-HNEの細胞毒性効果に、4(S)>4(R)の立体選択性が存在することを初めて細胞レベルで検証したものである。また、この立体選択性は、4-HNEの解毒代謝反応の立体選択性に起因するものではなく、4(S)-HNEの直接的な細胞毒性作用に起因することが明らかとなった。
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