2003 Fiscal Year Annual Research Report
植物エストロゲンの硫酸ならびにグルクロン酸抱合反応による代謝
Project/Area Number |
14572072
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
小倉 健一郎 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (10185564)
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Keywords | 植物エストロゲン / ゲニステイン / ダイゼイン / 硫酸抱合 / グルクロン酸抱合 / 代謝 / 排泄 / 抱合反応 |
Research Abstract |
植物エストロゲンのダイゼイン(DZ)およびゲニステイン(GS)のヒト代謝物として、それぞれの単硫酸抱合体および二重硫酸抱合体が尿中に排泄されていることが知られている。しかしながら、両物質ともに複数のフェノール性水酸基を有しているが、硫酸抱合を受ける水酸基の位置ならびにその抱合に関わるSULT分子種は明らかにされていない。そこで、平成14年度に構築したヒト硫酸基転移酵素SULT分子種の発現系を用いて、DZおよびGSの硫酸抱合反応について動力学的解析を含めた詳細な検討を行った。また、DZおよびGSから生成する可能性のある硫酸抱合体(単硫酸抱合体異性体ならびに二重硫酸抱合体)の合成を行い、標準品とした。ヒト肝可溶性画分によりDZおよびGSから生成する硫酸抱合体についてHPLC分析により各種合成標品との同定を行った。その結果、両物質からそれぞれ7-あるいは4'-位の水酸基が抱合された単硫酸抱合体の異性体(7-sulfateおよび4'-sulfate)、そして7-および4'-位の両水酸基が抱合された二重硫酸抱合体(disulfate)が生成し、それぞれ対応する合成標品と同定された。各抱合体の生成比は、何れの物質においても7-sulfate> 4'-sulfate >> disulfateであり、抱合部位の位置選択性が認められた。 さらにDZおよびGSの硫酸抱合に関与するSULT分子種について、4種の精製ヒトSULT分子種を用いて反応の動力学的解析を行った。その結果、両物質からの7-および4'-sulfateの生成にはSULT1A1およびSULT1E1の2種の分子種が関与している可能性が示された。しかしながら、SULT1A1による硫酸抱合では7-位の水酸基に対して位置選択性を示したものの、SULT1E1による位置選択性は認められなかった。これらのことから、ヒト肝可溶性画分による位置選択的な硫酸抱合にはSULT1A1が主に関与していることが強く示唆された。さらに、DZおよびGSの7-sulfateおよび4'-sulfateを基質として7,4'-disulfateの生成に関与するSULT分子種を検討したところ、何れの単抱合体を基質にした場合も、disulfate生成にはSULT1E1が最も関与していることが明らかになった。これらの結果から、植物エストロゲンのDZおよびGSのヒト肝におけるdisulfateの生成経路として、最初の反応としてSULT1A1により7-sulfateが生成し、次いでSULT1E1によりdisulfateが生成する経路が主であると考えられた。
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Research Products
(1 results)