2002 Fiscal Year Annual Research Report
ダウン症の発症原因となるリン酸化酵素Mnb/Dyrk1Aの機能解析
Project/Area Number |
14572084
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
伊藤 文昭 摂南大学, 薬学部, 教授 (80111764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
船越 英資 摂南大学, 薬学部, 助手 (70299030)
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Keywords | ダウン症 / ヒト21番染色体 / リン酸化酵素 / Dyrk1A / Mnb / 中心体 / チュブリン / 多核細胞 |
Research Abstract |
Mnb/Dyrk1A蛋白質はダウン症で見られる精神遅滞にかかわっている可能性が考えられるセリン/スレオニンおよびチロシンをリン酸化するリン酸化酵素であるが、その細胞内での役割については明らかでない。そこで、本研究では、Mnb/Dyrk1A蛋白質をgreen fluorescent protein(GFP)融合蛋白質としてHeLa細胞に発現させ、その細胞内の分布や細胞形態に及ぼす影響を観察した。Mnb/Dyrk1A遺伝子の発現が少ないHeLa細胞では、Mnb/Dyrk1A蛋白質は間期において核内に点状に存在するが、M期では細胞質全体に存在するようになり、細胞周期の時期において細胞内の局在が変わることが分かった。一方、過剰発現HeLa細胞では、Mnb/Dyrk1A蛋白質は間期において核全体に広がって存在しており、40%以上の細胞で多核の形成が見られた。21番染色体のトリソミーによるMnb/Dyrk1A蛋白質の増加がダウン症の原因の一つと考えるなら、Mnb/Dyrk1A蛋白質を過剰発現した細胞の形態変化は重要であると考え、多核を形成するメカニズムについて、詳細に解析した。染色体は紡錘糸に結合して両極にある中心体の方向へと移動し、二つの細胞に均等に分配され、その後、核膜が形成されることにより娘細胞に一つずつの核が形成される。そこで、α-チュブリンおよびγ-チュブリンに対する抗体を用いて、紡錘糸および中心体の免疫染色をおこなった。その結果、Mnb/Dyrk1A蛋白質を過剰発現した細胞では中心体の数が増加しており、染色体が2等分されずに多数の中心体方向へと引っ張られることにより多核細胞の形成されることが明らかとなった。
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