2002 Fiscal Year Annual Research Report
血管障害性痴呆の発症機序解明ならびに神経保護機構の検索に関する研究
Project/Area Number |
14572088
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
田村 豊 福山大学, 薬学部, 助教授 (30217202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 託 広島大学, 医学部, 助手 (10294547)
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Keywords | adenosine / AMP / ATP / A1 receptor / cortex / culture / glutamte / necrosis |
Research Abstract |
【実験の背景】これまでの研究成績により、虚血性神経細胞死のin vitro実験系(90分間の低酸素・低グルコース処置により誘発される神経細胞死)では、一部はアポトーシス様の神経細胞死であるが、主としてネクローシス様の神経細胞死であることが示唆されている。またアデノシンが神経保護作用を有していることを見いだしている。 【研究実施概要】本年度は、虚血性神経細胞死のin vitro実験系を用いて神経保護作用を有する物質の検索を行った。 【実験成績】(1)生体内におけるアデノシンのリソースと考えられるアデニンヌクレオチド類の作用を検討した。ATPおよびAMPは神経保護作用を発現したが、ADPには有意な保護作用は観察されなかった。また、ATPおよびAMPの神経保護作用は一部アデノシンA1受容体拮抗薬のcyclopentyltheophyllineにより減弱された. (2)ノルアドレナリン、セロトニン、ヒスタミンおよびアセチルコリンは有意な神経保護作用を発現しなかった。 【考察】虚血性神経細胞死は、虚血中に過剰遊離される興奮性アミノ酸のより惹起されるネクローシス様の神経細胞死である。この神経細胞死に対してATP、AMPおよびアデノシンは神経保護作用を有していることが示唆された。またATPおよびAMPの神経保護作用がA1受容体拮抗薬で減弱されることから、アデノシンと同様A1受容体を介して保護作用を発現していると考えられる。
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