2003 Fiscal Year Annual Research Report
血管障害性痴呆の発症機序ならびに神経保護機構の検索に関する研究
Project/Area Number |
14572088
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Research Institution | Fukuyama University |
Principal Investigator |
田村 豊 福山大学, 薬学部, 助教授 (30217202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 託 広島大学, 医学部, 助手 (10294547)
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Keywords | 虚血生神経細胞死 / スナネズミ / 初代培養細胞 / グルタミン酸 / アデノシン / 神経保護作用 |
Research Abstract |
血管障害性痴呆の原因となる虚血生神経細胞死の発現機序並びにこれに対する保護機構の検索を脳虚血動物モデルおよび初代培養細胞を用いて行った。 【スナネズミを用いた脳虚血動物モデルにおける研究】 スナネズミの両側総頚動脈を結紮することにより5分間の全脳虚血を負荷した。この処置により海馬CA1領域の錐体細胞は経日的に脱落した。この一過性脳虚血による海馬錐体細胞の脱落は虚血直後にNMDA受容体拮抗薬のMK-801あるいは一酸化窒素合成酵素阻害薬のL-NAMEを虚血負荷30分前に腹腔内投与することにより有意に抑制された。さらに、アデノシンA1受容体作動薬のCHAおよびA2受容体作動薬のCGS-21680の前投与によっても錐体細胞の脱落は有意に抑制された。 【初代培養細胞を用いた研究】 平成14年度に確立した初代培養大脳皮質ニューロンを用いた虚血生神経細胞死のin vitro実験系を用いてアデノシンの作用を検討した。アデノシンは虚血性神経細胞死に対して有意な神経保護作用を発現した。さらにCHA、CGS-21680も虚血性神経細胞死を抑制した。アデノシンの神経保護機構を検索した結果、CHAはA1受容体を介して虚血処置中のグルタミン酸遊離を減弱させることにより、CGS-21680はA2受容体を介してPKAを活性化させることより保護作用を発現していた。さらに、虚血処置中の細胞外アデノシン量は有意に増加しており、虚血処置中にA1受容体拮抗薬のCTPあるいはA2受容体拮抗薬のDMPXを処置することにより神経細胞死は有意に増悪された。 以上、本研究成果より、虚血生神経細胞死に対してアデノシンはA1受容体を介したグルタミン酸遊離抑制、A2両受容体-PKA系を介した2つの系により神経細胞を保護することが明らかになった。
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