2003 Fiscal Year Annual Research Report
ブフォリン2の効率的膜透過機構の解明と細胞内薬物導入ベクターとしての応用
Project/Area Number |
14572091
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松崎 勝巳 京都大学, 薬学研究科, 教授 (00201773)
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Keywords | 抗菌性ペプチド / ブフォリン2 / 膜透過 / プロリン / シス-トランス互変異性 / 濃度依存性 / 曲率 |
Research Abstract |
抗菌ペプチドであるアジアヒキガエル由来のブフォリン2(TRSSRAGLQFPVGRVHRLLRK)の効率的な膜透過の機構解明を試みた.まず,膜透過には11番目のプロリンが重要であるとのこれまでの成果(Biochemistry 39,8648(2000))に基づき,プロリンのもつシス-トランス互変異性が膜透過に関与しているか否かを調べた.トランス型に固定するため,プロリンをα-メチルプロリンに置換したブフォリン2誘導体(1)を合成し,膜との相互作用をモニターするため,N末端をダンシルで蛍光ラベルした.トリプシン内封ホスファチジルグリセロール/ホスファチジルコリン(1/1)リポソームを用いて膜透過性を調べたところ,(1)はダンシル-ブフォリン2(2)と同等の膜透過性を示したことから,シス-トランス相互変換は膜透過に関与していないことが明らかとなった.次に,F11W-ブフォリン2(3)を用いて,トリプシン内封ホスファチジルグリセロール/ホスファチジルコリン(1/1)膜透過のペプチド濃度依存性を調べた.膜透過性はペプチド濃度に対し協同的に増大したことから,モノマーではなく,オリゴマーとして膜を透過すると推定された.さらに,ホスファチジルコリンを負の曲率をもつホスファチジルエタノールアミンに置換すると,(3)の膜透過は完全に抑制されたことから,膜透過にはブフォリン2が膜に誘起する正の曲率が関与していることが示唆された.
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