2002 Fiscal Year Annual Research Report
NADPH-P450還元酵素の新機能:低酸素における遺伝子発現制御
Project/Area Number |
14572095
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
今岡 進 関西学院大学, 理工学部, 教授 (60145795)
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Keywords | 低酸素 / NADPH-P450還元酵素 / VEGF / エリスロポエチン / 活性酸素 |
Research Abstract |
細胞の低酸素状態は、癌、心筋梗塞などの病態時さらには発生過程において重要な因子で、エリスロポエチン(EPO)や血管増殖因子(VEGF)など様々な遺伝子誘導に関わっている。当該研究では、遺伝子の低酸素誘導にNADPH-P450還元酵素(NPR)が関与することを見いだしたことから、NPRの新規機能として、このタンパク質を介した遺伝子の低酸素誘導メカニズムを解明することを目的とする。ヒト肝癌細胞Hep3Bを用いて、EPOの誘導をマーカーにして実験を行ったところ、NPR anti-sense cDNAの導入によるNPR発現抑制実験で、EPOの低酸素による誘導は顕著に抑制された。さらに、細胞の活性酸素量を蛍光色素を用いて調べたところ、NPRの発現抑制に伴ってやはり低下が見られた。一方、NPRを強制的に発現させた細胞では逆にEPOの誘導が亢進された。実際のヒト膀胱癌細胞で調べたところ、NPRの発現の高い細胞はVEGFの発現が高く、よい相関関係が見られた。これらの結果は、EPOやVEGFの低酸素における発現にNPRが関わっていることを示している。さらに、このメカニズムを解明する目的でアフリカツメガエルの卵にヒトNPR mRNAを導入して、VEGFの発現を検討したところVEGFの増加が見られた。一方アフリカツメガエルのNPRをノックダウンしてVEGFの発現をみるため、まだ精製されていないカエルのNPRの精製およびcDNAの単離を検討中である。現在タンパク質の精製には成功している。以上の結果から、NPRがEPOやVEGFの発現に関与していることは明らかになった。メカニズムについては、NPRが産生している活性酸素あるいは従来の働きである何かのタンパク質に電子を伝達することで、EPOやVEGFの発現制御にかかわっているのかもしれない。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Osada M., Imaoka S., Sugimoto T., Hiroi T., Funae Y.: "NADPH-cytochrome P-450 reductase in the plasma membrane modulates the activation of hypoxia-inducible factor 1"J. Biol. Chem.. 277(26). 23367-23373 (2002)
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[Publications] Hiroi T., Chow T., Imaoka S., Funae Y.: "Catalytic specificity of CYP2D isoforms in rat and human"Drug Metab. Dispos.. 30(9). 970-976 (2002)
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[Publications] Yamaguchi Y., Kirita S., Hasegawa H., Aoyama J., Imaoka S.et al.: "Contribution of CYP4A8 to the formation of 20-hydroxyeicosatetraenoic acid from arachidonic acid in rat kidney"Drug Metabol. Pharmacokin.. 17(2). 109-116 (2002)
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[Publications] Kamada T., Chow T., Hiroi T., Imaoka S., Morimoto K.et al.: "Metabolism of seleginine hydrochloride, a selective monoamine B-type inhibitor, in human liver microsomes"Drug Metabol. Pharmacokin.. 17(3). 199-206 (2002)