2004 Fiscal Year Annual Research Report
四塩化炭素による投与条件依存的IL-6誘導とその肝障害抑制機序の解明
Project/Area Number |
14572113
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
北條 博史 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (90004621)
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Keywords | 四塩化炭素 / IL-6 / 肝障害 / IL-1α / PGE_2 / TNFα / 奬膜 / 中皮細胞 |
Research Abstract |
これまでにラット四塩化炭素肝障害モデルを免疫毒性的観点から解析し、皮内あるいは腹腔内投与では早期に局所でIL-6が誘導され、この内因性IL-6が肝組織障害を減弱化させることを示した。また四塩化炭素腹腔内投与後、腸間膜、腹壁、横隔膜など漿膜を含む組織で選択的にIL-6mRNAが上昇したことから、漿膜組織が中心的IL-6産生部位と考えられた。四塩化炭素投与後すぐに採取した腹腔浸出液中にはPGE_2が検出され、PGE_2を漿膜構成細胞である中皮細胞に加えて培養するとIL-6産生が起こったことから、PGE_2はIL-6産生の介在因子の一つと考えられる。 本年度は、四塩化炭素によるIL-6産生機構を明らかにする目的で、PGE_2以外の介在因子の存在の可能性、さらにそれら介在因子の産生機序について検討を加え、以下の結果を得た。 1)四塩化炭素投与後の腹腔浸出液について、IL-6誘導性があるhistamine、IL-1α、腫瘍壊死因子(TNFα)について検索したところ、histamineはPGE_2と同様に投与後30分、IL-1α、TNFαは1時間でピークに達した。これらの出現はIL-6のピークである4時間より早いことから介在因子である可能性が考えられたため、それぞれの因子を中皮細胞に加え培養したところ、IL-1α、TNFαによりIL-6の産生増強が起こったが、histamineは影響を示さなかった。したがって四塩化炭素投与によるIL-6の産生誘導にはPGE_2及び炎症性サイトカインであるIL-1α、TNFαが少なくても一部介在するものと考えられる。 2)四塩化炭素投与ラット滲出液中のPGE_2、IL-1α、TNFαの産生細胞に関して検討した。希釈溶媒のコーンオイルを増加させた場合にIL-6の産生誘導が低下した事実から、希釈溶媒とそれぞれの因子量の関係を調べたところ、希釈溶媒の増量に伴って各因子の増加ならびに細胞数の減少の程度が小さくなったことから、四塩化炭素はまず腹腔細胞に刺激を与え介在因子を遊離させるものと推測した。実際腹腔細胞に四塩化炭素をin vitroで加えると、PGE_2の遊離が認められた。IL-1α、TNFαの産生細胞の詳細については今後の検討課題である。
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Research Products
(3 results)