2004 Fiscal Year Annual Research Report
発癌誘発に寄与する活性種の生成とその酸化的損傷誘発-ヒ素過酸化ラジカルとヒ素過酸化イオンの生成と発癌寄与への相違-
Project/Area Number |
14572114
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山中 健三 日本大学, 薬学部, 助教授 (50182572)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 孝一 日本大学, 薬学部, 講師 (60246931)
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Keywords | ジメチルアルシン酸 / 3価ジメチルヒ素 / ジメチルヒ素フリーラジカル / 酸化ストレス / ヒ素発癌 / 無機ヒ素 / メチル化代謝 |
Research Abstract |
本研究の特徴はヒ素発癌において重要な因子と考えられる無機ヒ素の中間代謝産物である3価ジメチルヒ素ならびに最終代謝産物であるジメチルヒ素フリーラジカルの酸化ストレス誘発能を比較することでヒ素発癌機構の一部を明らかにすることにある。3価ジメチルヒ素の酸素分子との反応によりジメチルヒ素過酸化体(イオン)が生成し、酸化ストレスが誘発されることを前年度までの研究で明らかにしてきた。一方、3価ジメチルヒ素から最終代謝産物であるジメチルヒ素フリーラジカルが容易に生成する可能性も推定してきた。そこで、今年度は、3価ジメチルヒ素の発癌への影響をin vivo実験により明らかにするとともに、ジメチルヒ素フリーラジカルの代謝生成機構を解明するととも、ジメチルヒ素フリーラジカルによる肺発癌誘発能を検討することで、ヒ素代謝過程で生ずる活性種の発癌への寄与を明らかにすることを目的とした。 その結果、3価ジメチルヒ素を介して生ずる酸化ストレスは肺ならびに皮膚に対する発癌プロモーション過程で重要な役割を演じていることをマウスを用いた検討から明らかにした。これらの現象は慢性ヒ素中毒患者由来の皮膚病変組織を用いた検討においても示唆されたことから、ヒトに対するヒ素発癌プロセスでも、無機ヒ素のメチル化代謝が重要な役割を演じている可能性が推定された。また、3価ジメチルヒ素の酵素的2電子還元により、ジメチルヒ素フリーラジカルが生ずることも見いだし、現在、これらラジカルの発癌性(発癌イニシエーション)試験を実施している。
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Research Products
(4 results)