2002 Fiscal Year Annual Research Report
バナジウムを含む富士山地下水を用いた糖尿病治療法に関する基礎的研究
Project/Area Number |
14572121
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Research Institution | Yamanashi Institute of Environmental Sciences |
Principal Investigator |
長谷川 達也 山梨県環境科学研究所, 自然環境研究部, 研究員 (90208489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬子 義幸 山梨県環境科学研究所, 自然環境研究部, 部長、主幹研究員 (60133360)
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Keywords | バナジウム / 微量元素 / 糖尿病 / 地下水 / 富士山 / 動物実験 / 薬物療法 / 相互作用 |
Research Abstract |
富士山周辺の地下水には、微量元素「バナジウム」が多く含まれている。バナジウムを経口的に糖尿病疾患モデル動物に摂取させると、血糖値の低下することが報告されている。そこで我々は、地下水に存在するバナジウムと同じ化学形であるバナデート(VO_3^-)で0.1mg/Lバナジウム水溶液(富士山地下水中バナジウム濃度レベル)を調製し、糖尿病疾患モデルマウスに飲料水として与えた。しかし、糖尿病改善効果は認められなかった。一方、薬物療法を行っている糖尿病患者の中には、富士山地下水を飲み始めると血糖値が改善された者がおり、バナジウムと糖尿病薬とのコンビネーションによる新しい糖尿病治療法の開発が期待されている。そこで本研究は、富士山地下水と糖尿病薬との併用による、新しい糖尿病治療法の開発を目的とし、富士山地下水を飲料水として与えて飼育した糖尿病疾患モデル動物に糖尿病薬を与え、その治療効果について検討を行う。また、糖尿病に効果を示す元素としてはバナジウム以外に亜鉛、クロム、セレン、マンガンなども知られている。富士山地下水にはバナジウム以外に多くのミネラル成分も含まれており、バナジウムとこれら成分が相乗的に働いて糖尿病を改善する可能性も否定できない。そこで初年度は、糖尿病疾患モデルマウス(KK-A^y)に富士山地下水ならびにその濃縮液を飲料水として与え飼育し、定期的に血糖値ならびにグリコヘモグロビン(HbA1c)の測定を行った。その結果、富士山地下水やその濃縮液だけでは糖尿病治療効果が示されないことが明らかとなった。この結果をふまえ、2年目に富士山地下水と糖尿病薬との併用効果を検討する予定である。また、これら動物の臓器中バナジウム量をICP-MSで測定した。その結果、肝臓、腎臓および筋肉にバナジウムが蓄積することが明らかとなった。2年目は尿中への排泄量に関しても検討する予定である。
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