2004 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病によるアルギナーゼII活性亢進と血管リモデリングの増悪
Project/Area Number |
14572152
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
東 洋 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (20134736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土井 庄三郎 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (80262195)
尾林 聡 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助手 (10262180)
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Keywords | 高血糖 / 内膜肥厚増悪 / arginase活性亢進 / N^G-hydroxy-L-arginine / putrescine / omithine decarboxvlase (ODC) |
Research Abstract |
Alloxan誘発の高血糖ウサギにおいて、頸動脈内膜剥離後に惹起される内膜肥厚は著明に増悪し、この増悪には(1)DDAH活性低下に起因する内因性NOS阻害因子の蓄積、(2)内因性NOS阻害因子の蓄積に伴うNO産生低下、(3)arginase活性亢進ならびに(4)aldose reductase活性化が密接に関与することをすでに報告した。本年度はarginase活性亢進に伴うNO産生低下の加速およびその機序、omithine decarboxylase (ODC)活性ならびにputrescine生合成について検討した。 肥厚頸動脈標本でのarginase活性は、高血糖により著明に亢進しており、NO産生の著明な低下を伴っていた。このNO産生低下は、NO産生経路における中間生成物、N^G-hydroxy-L-arginine (NOHA)または過剰L-arginine添加によって抑制された。また、NOHAはarginaseを濃度依存的に抑制した。さらに、ODC活性も亢進しており、NO donorであるsodium nitroprussideはODCを濃度依存的に抑制した。血管壁でのputrescine含量は高血糖群において著明に増加していた。以上の事実は、高血糖によってDDAH活性が低下すると内因性NOS阻害因子が蓄積しNOSが抑制されるので、NOならびにNOHA産生が低下し、そのためにODCならびにarginase活性がそれぞれ亢進する。その結果、putrescine産生亢進とL-arginine含量低下とをもたらす。L-arginine含量低下のためにNOSによって媒介されるNO産生低下が加速すると考えられた。Putrescineは強力な細胞増殖促進活性を有しており、これらが複合的に作動する結果、高血糖によって内膜肥厚が著明に増悪したのであろう。
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Research Products
(3 results)