2002 Fiscal Year Annual Research Report
モルヒネ疼痛治療におけるUGT遺伝子多型の有用性の検討
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14572155
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
大橋 京一 浜松医科大学, 医学部, 教授 (20137714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 久邦 浜松医科大学, 医学部附属病院, 教授 (10009558)
小菅 和仁 浜松医科大学, 医学部, 助手 (00283375)
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Keywords | モルヒネ / UGT2B7 / 遺伝子多型 / 薬物動態 |
Research Abstract |
モルヒネの薬物動態の個人差の原因を明らかにすることは、科学的根拠に基づいた適正使用を実施するうえで、重要である。モルヒネはUGT2B7によってグルクロン酸抱合され、モルヒネ-3-グルクロン酸(M-3-G)とモルヒネ-6-グルクロン酸(M-6-G)となる。このUGT2B7活性の個人差がモルヒネの薬物動態に影響を与えるのかについて、モルヒネおよび代謝物の血中濃度比(M-3-G/M, M-6-G/M)とUGT2B7に関与する遺伝子多型との関係について検討を行った。モルヒネ経口投与群におけるM-3-G/M濃度比は、44.99±23.53(平均値±S.D.)、M-6-G/M濃度比は8.63±4.04であり、点滴投与群におけるM-3-G/M濃度比は9.98±2.95、M-6-G/M濃度比は2.19±0.76と、経口投与群の方が点滴投与群に比し、有意に高く(p<0.01)、それぞれの群で約10倍の個人差を認めた。しかしながら、UGT2B7のエクソン領域のC802T変異は本研究で対象とした癌患者では認められず、C802Tの遺伝子多型はモルヒネの薬物動態の個人差には関与しないことが示唆された。しかし、UGT2B7遺伝子のプロモーター領域のTATA box、C/EBP CAAT box、Pbx-1、Oct-1についてシークエンス分析を行った結果、転写因子の結合部位であるOct-1に一塩基多型(T-175A)の存在を17.4%(4/21名)に認めた。これらの多型を認めた群では、M-3-G/M濃度比が低値傾向であった。モルヒネの個人差の一因として、UGT2B7のmRNA発現量の差異が、酵素活性差に結びつく可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)