2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14572170
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
高野 行夫 福岡大学, 薬学部, 助教授 (50113246)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三島 健一 福岡大学, 薬学部, 助手 (00320309)
本多 健治 福岡大学, 薬学部, 助手 (60140761)
斎藤 亮 福岡大学, 薬学部, 助手 (80122696)
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Keywords | 神経因性疼痛 / ムスカリン受容体 / 脊髄 / アロディニア / 糖尿病 / clonidine / 痛覚 / α2受容体 |
Research Abstract |
脊髄は、痛覚伝達の中枢への入り口であり、痛覚伝達に重要な役割を果している部位である。そこで、本年度の研究では脊髄に注目し、主に以下の点を明らかにした。 (1)疼痛の下行性神経路と脊髄コリン作動性神経の役割を解明した。 (2)糖尿病や癌などの疼痛のための動物モデル(神性因性疼痛モデル)を用い、(1)の神経路の関与を薬理学的に検討した。 1.機械刺激と侵害性熱刺激に対するclonidineの脊髄投与(i.t.)による抗侵害作用に対するムスカリン受容体の関与: α2受容体作動薬のclonidine(i.t.)は機械刺激および熱刺激伝達を抑制した。このclonidine(i.t.)の機械刺激に対する抗侵害作用は、α2受容体を介したM1受容体が関与していることを明らかにした。一方、熱刺激反応に対するclonidine(i.t.)の抗侵害作用は、脊髄のイミダゾール受容体が関与し、ムスカリン受容体は関与しないことを解明した。 2.糖尿病モデル動物を用いて、神経因性疼痛に対するclonidineの有効性とその作用機構: STZ誘発性糖尿病マウスでは、その糖尿病発症に伴い機械刺激に対する閾値の低下と、神経因性疼痛の特徴であるアロディニアが観察された。しかし、熱刺激に対して過敏反応は認められなかった。clonidine(i.t.)は、糖尿病発症に伴う機械刺激に対する閾値の低下とアロディニアを改善した。clonidine(i.t.)は一般行動と運動機能に影響を与えなかったことから、このclonidineの改善効果は脊髄上位中枢ではなく、疼痛情報伝達路の脊髄後角レベルで行われていることが示唆された。さらに、このclonidineの改善効果はムスカリンM1受容体拮抗薬に完全に抑制されたが、M2受容体拮抗薬およびM3受容体拮抗薬では影響を受けなかった。また、脊髄に投与したM1受容体作動薬は、糖尿病による機械刺激に対する閾値の低下とアロディニアを改善した。以上の結果より、clonidine(i.t.)はα2受容体作用によりアセチルコリンを遊離し、M1受容体を介して、糖尿病に伴うアロディニアを改善することが解明された。 今回の研究成果から、α2受容体作動薬およびM1受容体作動薬の脊髄内投与は、糖尿病に伴うアロディニアに有効であることが証明された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Saito, R.: "Roles of substance P and NK1 receptor in the brainstem in the development of emesis"J.Pharmacol.Sci.. 91. 87-94 (2003)
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[Publications] Honda, K.: "The role of spinal muscarinic acetylcholine receptors in clonidine-induced anti-nociceptive effects in rats"Biol.Phama.Bull.. (in press). (2003)
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[Publications] Ariumi, H.: "Roles of the central prostaglandin EP3 receptors in cardiovascular regulation in rats"Neuroscience Lett.. 324. 61-64 (2002)
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[Publications] Honda, K.: "Intrathecal α2 adrenoceptor agonist clonidine inhibits mechanical transmission in mouse spinal cord via activation of muscarinic M1 receptors"Neuroscience Lett.. 322. 161-164 (2002)
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[Publications] Ueno, S.: "Measurement of dorsal root ganglion P2X mRNA by SYBR green fluorescence"Brain Research Protocols. 10. 95-101 (2002)