2003 Fiscal Year Annual Research Report
内因性物質・スパイノルフィンによる新たな発痛制御の解析
Project/Area Number |
14572172
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization of Medical Science |
Principal Investigator |
山本 行男 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (80124501)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽里 忠彦 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 副参事研究員 (60109949)
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Keywords | 内因性物質 / スパイノルフィン / 疼痛制御 / 炎症制御 / 酵素免疫測定法 |
Research Abstract |
脊髄に高濃度存在するスパイノルフィン(LVVYPWT)は、発痛物質・ブラジキニン(BK)を用いた薬理試験において鎮痛活性を有するが、モルヒネ等のオピオイドと異なる新たな情報伝達機構を介して疼痛制御機構に働くことを明らかにしてきた。更に、プロテアーゼ阻害活性を有する本物質関連化合物を駆使した薬理試験で、DPPIII(dipeptidyl peptidase III)がスパイノルフィンの活性発現に重要な役割を果たしていることが分かった。今年度は、疼痛患者の脊髄液におけるスパイノルフィンとDPPIII活性がどのような痛みに関連しているか、その動態解析を行なった。脊髄液は、東京都立駒込病院倫理委員会での承認を得た後、手術時に採取し使用まで凍結保存した。 疼痛患者の脊髄液におけるスパイノルフィンレベルは、無痛患者(コントロール)と比較して、2.5倍の増大が認められ左。更に、急性・慢性両疼痛群における本物質のレベルはコントロールと比較して増大傾向にあったが、両者間で有意の差は認められなかった。一方、本物質が抑制活性を持つDPPIIIは疼痛群において30%の減少が認められ、その傾向は慢性群と比較して急性群において顕著であった。興味深いことに、本物質とDPPIIIの両者間には統計的に有意の負の相関が認められた。 本物質および関連物質が、ブラジキニン発痛系において鎮痛作用を示し疼痛制御の可能性を報告している。今回、スパイノルフィンおよびDPPIIIが疼痛患者の脊髄液において顕著な動態を示すことから、両物質を介した疼痛制御の更なる可能性が示唆された。今後、慢性病態の関節リウマチ患者における関節液・脊髄液を用いて、疼痛・炎症制御物質としてのスパイノルフィンの病態関連性を追究していきたい。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 佐藤洋, その他: "脳脊髄液中におけるエンケファリン代謝酵素dipeptidyl peptidase(DPPIII)の動態"麻酔. 52・3. 257-263 (2003)
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[Publications] Shimamura, M., et al.: "A hypoxia-dependent nitroimidazole KIN-841 inhibits angiogenesis by blocking production of angiogenic factor."Brit.J.Cancer. 88・2. 307-313 (2003)
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[Publications] Oshizawa et al.: "Possible involvement of optimally phosphorylated L-plastin in activation of superoxide-generating NADPH oxidase."J.Biochem. 134・6. 827-834 (2004)
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[Publications] 羽里忠彦, その他: "食肉に関する助成研究調査成果報告書。ウシ脊髄由来の新しい生理活性物質・Spinorphinの研究"伊藤記念財団. 5 (2003)