2003 Fiscal Year Annual Research Report
IgGの糖鎖修飾によりマクロファージの貪食能を制御する技術の開発
Project/Area Number |
14572186
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
木村 聡 昭和大学, 医学部, 助教授 (30255765)
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Keywords | 臍帯血 / IgG / 糖鎖 / マクロファージ |
Research Abstract |
ヒト血清IgGのFc部分にはアスパラギン結合型の糖鎖が付着しており、IgGの3次元構造の維持に関与している.この糖鎖組成を分析する新しい手法として、我々はFMOC(9-fluoromethylchloroformate)を標識物質とした糖鎖分析法を開発、IgGの糖鎖分析を行ってきた。新生児の免疫能は、母体から胎盤を介して供給されるIgGに依存するが、両者でIgG糖鎖に差があるかに関しては報告がない。そこで平成15年度は、前年に引き続き臍帯血と母体血でIgG糖鎖の比較を行った。すでに我々は成人とは異なる糖鎖組成比を臍帯血IgGに認めており、Fc部分を介したマクロファージの貧食能が高いタイプの糖鎖であることを解明している。この免疫活性が高い糖鎖をもつIgGが、より効率的に母体から供給されることにより、胎児の未熟な免疫能を補っていると推定される。分析手法の詳細は我々の既報(S.Kimura et al. : Clinica Chimica Acta 299:169-177,2000)によった。分析の結果、シアル酸を除去したマンノースコア末端にガラクトースが2分子ついたタイプの糖鎖が、母体血、臍帯血とも高いことが判明した.この糖鎖は、他にくらべマクロファージのFc-mediated phagocytosis活性が高いとされている。したがって、糖鎖の違いが胎盤移行性だけでなく、新生児のマクロファージを介した免疫能にも大きく影響することが推定され、さらに症例を集め検討している。また次年度は、胎盤機能、すなわち上記の糖鎖をもつたIgGの臍帯血中濃度が、胎盤機能、あるいは新生児免疫能の指標になるのではないか、という観点からも考察を加える予定である。
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