2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14572198
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
三宅 康子 国立循環器病センター研究所, 病因部, 室長 (00132936)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山村 卓 国立循環器病センター研究所, 病因部, 室長 (20132938)
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Keywords | LDLレセプター / 遺伝子変異 / 高頻度変異 / 表現形 / 遺伝子診断 / mild type変異 / 家族性高コレステロール血症 |
Research Abstract |
私達は日本人に多く見られるLDLレセプター遺伝子変異にはどのようなものがあるのか、またその特徴について研究を行っている。日本人に比較的多く見られる変異をいくつか見出したが、その中にL547V変異がある。 これまで、この変異をheterozygoteや、他の変異とのcompound heterozygoteの形でもつ症例は得られていたが、この変異を純粋なtrue homozygoteの形でもつ症例は得られていなかった。今回L547V変異のtrue homozygote症例が見出され、この患者の皮膚線芽細胞を用いて、変異LDLレセプターの生化学的性質について調べてみた。L547V変異とnull allele type(レセプター蛋白非合成型)変異とのcompound heterozygoteの細胞でのLDLレセプター活性は正常人細胞の場合の20〜30%であったのに対して、L547V変異のtrue homozygoteの細胞では正常の60〜70%と高く、一般heterozygoteのレベルであった。またL547V true homozygoteの細胞でレセプター生合成過程を調べたところ、正常サイズの前駆体が形成されており、正常なプロセシングを経て正常サイズの成熟体が合成されていた。またこの変異レセプターのLDLへの親和性は正常のものと異ならなかった。L547V変異のtrue homozygoteの患者では血清総コレステロール値は一般heterozygoteのレベルであり、心疾患の合併も見られなかった。L547V変異のようなmild typeの変異では遺伝子的にはhomozygoteであっても、LDLレセプター活性、臨床症状ともヘテロレベルの表現形を示すことがわかった。このようなmild type変異のheterozygoteではFH症例として見逃される可能性もあるものと思われ、一般に見られる軽度な高コレステロール血症の原因としてこのようなmild typeのLDLレセプター遺伝子変異の存在が考えられた。
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