2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
14572198
|
Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
三宅 康子 国立循環器病センター研究所, 病因部, 室長 (00132936)
|
Keywords | LDLレセプター / 遺伝子変異 / 家族性高コレステロール血症 / 高頻度変異 / 変異の多様性 / 遺伝子診断 |
Research Abstract |
家族性高コレステロール血症(FH)はLDLレセプター遺伝子変異に基づく疾患であるが、現在世界で600種類ものLDLレセプター遺伝子変異が知られており、一般にLDLレセプター遺伝子変異は非常に多様性に富むものである。しかし、一方、世界のある地域やある集団に固有の変異が存在することも知られている。我が国は島国であることから固有変異が存在する可能性が考えられ、我が国のFH症例にはどのような変異が見られるのかについて調べた。 互いに血縁のない200例のFHヘテロ接合体と考えられる症例についてPCR-SSCPとSouthern blotting等を行ってLDL、レセプター遺伝子変異の同定を試みた。200症例のうち103例(52%)にLDLレセプター遺伝子変異が同定された。合計49種類の異なる変異が確認され、それらのうち6種類の比較的高頻度な変異が見られた。それらは、C317S変異(200症例中6.5%)、K790X変異(6.0%)、1845+2T>C変異(5.5%)、L547V変異(3.5%)、P664L変異(3.0%)、D412H変異(2.5%)であり、これらはいずれも点変異であった。これらの変異は我が国におけるLDLレセプター遺伝子のcommon mutationであると思われる。これら6種類の変異を合わせると全体の約30%を占めるところから我が国のFH症例の約30%の遺伝子診断は比較的容易であると思われる。 しかし、残りの43種類の変異は0.5%(200例中1例)から1.5%(3例)の低頻度でしか見出されず、これらのminor mutationを合計すると全体の25%を占めた。 これらの結果より、我が国のLDLレセプター遺伝子変異は多様なものであり、当疾患の遺伝子診断は一般には難しいものと考えられた。
|