2003 Fiscal Year Annual Research Report
地域高齢者のQOLを指標にした地域看護活動の評価方法の開発
Project/Area Number |
14572215
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Research Institution | HAMAMATSU UNIVERSITY SCHOOL OF MEDICINE |
Principal Investigator |
中谷 芳美 浜松医科大学, 医学部, 講師 (90217753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 知代 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 助教授 (50257557)
青柳 美樹 浜松医科大学, 医学部, 助手 (60334976)
荒木田 美香子 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50303558)
入江 晶子 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 講師 (00232629)
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Keywords | 地域高齢者 / 地域看護活動 / QOL / 評価指標 |
Research Abstract |
地域で生活する高齢者を対象に実施されている地域看護活動を評価するためにLawtonが示した高齢者QOLの4要素を概念枠組みとした調査票を作成した。平成15年11〜平成16年1月、S県Y町の在宅で生活する65歳以上町民を対象として、健康虚弱高齢者群は郵送法により、要介護高齢者群・介護者群は介護支援専門員の協力を得て質問紙調査を実施した。分析対象は健康虚弱高齢者群1,761名、要介護高齢者群172名、介護者群161名であった。 健康虚弱高齢者群・要介護高齢者群・介護者群の主観的QOLの構成概念は、QOL評価の共通項目とした17項目の因子分析の結果、健康虚弱高齢者群は5因子(人々との交流満足感、身体の健康状態、役割の認知、生活の楽しさ、心理的安定感)、要介護高齢者群は4因子(心身の健康状態、生きがいの存在、家族との交流満足感、他者との交流満足感)、介護者群は4因子(存在の満足感、心理的安定感、人生の豊かさ、身体の健康状態)にカテゴリー化され、3群間に特徴が認められた。QOLスコア良好群の割合は、概ね健康虚弱高齢者群が最も多く、次いで介護者群、要介護高齢者群の順であり、健康レベルや自立度との間に関連が認められたものの、家族とのつきあいの満足感や心理的な安定感は要介護高齢者群の良好群の割合が最も高く、生活の楽しさや生きがいは介護者群の良好群の割合が高いことが認められた。 また、高齢者のQOLスコアの良好群・不良群に関連した要因は、健康状態や自立度(要介護度)、町の健康診査・健康相談・健康教育などの保健サービスの認知や利用状況、健康習慣の有無、ソーシャル・サポートの状況、家庭・地域社会での役割の有無、友人・知人との交流や地域での活動状況であった。高齢者のQOLを向上させるためには、健康状態や要介護度や自立度を向上させることに加え、高齢者の生活意欲や生きがいを高めたり、社会参加を促進するなど人々との交流が維持できるような援助の必要性が示唆された。特に、在宅で介護を受けている高齢者にとっては、家族関係や介護者の介護負担感、介護者に対する友人や近所の人からの支援状況も要介護者のQOLと関連しており、個人・家族的アプローチにもならず、近隣・地域を対象とした集団・地域的アプローチの重要性が示唆された。
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