2002 Fiscal Year Annual Research Report
高齢の市中肺炎患者における入院期間長期化の要因分析
Project/Area Number |
14572222
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
田中 道子 島根医科大学, 医学部, 助教授 (80279629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古瀬 浩介 島根医科大学, 医学部, 教授 (20156970)
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Keywords | 市中肺炎 / 高齢者 / 入院期間 / 長期化 / 要因 |
Research Abstract |
高齢の市中肺炎患者の入院長期化の要因を分析するために、Y医院(19床の診療所)における高齢の肺炎患者を対象に、(1)年齢、(2)肺炎以外の病名、(3)入院時の移動能力、(4)肺炎の重症度(日本呼吸器学会の「成人市中肺炎のガイドライン」による基準)、(5)検査・治療、(6)入院期間などについて調査した。 その結果、肺炎以外に病気が認められなかった患者は18名で、その平均入院期間は約10日であった。18名の年齢は60〜86歳(平均年齢61.3歳)で、入院時の移動能力は全員が自力での歩行が可能であった。肺炎の重症度は、胸部レントゲン写真上の陰影の拡がりと、体温、脈拍、呼吸数、脱水の有無などの身体所見から判定した場合、軽症の患者が15名で、残りの3名が中等症であった。 一方、慢性疾患などの既往をもつ肺炎患者は9名で、その平均入院期間は約17日であった。9名の年齢は、61〜81歳(平均71.7歳)であった。入院時の移動能力は全員が自力での歩行が可能、肺炎の重症度は全員が軽症であった。 Y医院では、肺炎の検査・治療が標準化されており、治療はペントシリン1gを1日2回、点滴により7日間投与されると同時に、ミノマイシン4錠を1日2回、内服で5日間投与される。今回の調査対象で治療薬の延長あるいは変更が認められた患者は3名であった。 以上の結果から、高齢の市中肺炎患者の入院期間の長期化には、慢性疾患の有無が関連していることが明らかになった。しかし、症例数が少ないので今後さらに調査を行う必要がある。 また、Fineら(1993)は、肺炎の重症度が高ければ高いほど入院期間が長くなることを明らかにした。我々のこれまでの調査では、肺炎以外に病気が認められなかった患者18名のうち、中等症の肺炎患者3名の平均入院期間は13日で、軽症の肺炎患者15名のそれは9.7日であった。症例数が少ないながらもFineらの結果と一致する傾向が認められるので、今後さらに調査する必要がある。
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