2002 Fiscal Year Annual Research Report
基礎看護教育における医療事故防止の為の支援介入に関する研究
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14572223
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
兵藤 好美 岡山大学, 医学部, 講師 (90151555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 宏二 岡山大学, 教育学部, 教授 (00087983)
池田 敏子 岡山大学, 医学部, 助教授 (60202892)
田中 共子 岡山大学, 文学部, 教授 (40227153)
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Keywords | 医療事故 / 患者特性・状況の予測判断 / 規則・知識ベースのミステイク / うっかり忘れ(Lapses) / うっかり間違い(Slips) / 危険予知訓練 / 外化 / 自己モニタリング |
Research Abstract |
本年度は、特に学生の臨地実習における実習中のヒヤリ・ハット体験に注目し、その要因には何があるかを数量化III類によって分析を行った。その結果、次の4つの要因に分かれることが明らかになった。それは、1.患者の特性や状況の予測判断に関するもの,2.知識不足等によるもの(mistake:規則・知識ベースのミステイク),3.うっかり忘れ(Lapses:ストッパーや器具の戻し忘れ等),4.うっかり間違い(Slips:誤ってこぼす・刺す等)である。これら要因の2.〜4.は、認知科学者によるヒューマンエラーの分類に相当するが、要因1.の予測判断は医療現場、とりわけ学生に固有のヒヤリハット体験であることが推察される。次に、各要因に対する対応策及び訓練方法を示す。 要因1に対する危険予知訓練は、本来のチームメンバー全員で行うが、学生自身の計画であることから、ブレーン・ストーミングを行うことを提案した。その訓練内容は、(1)立案した看護計画の具体的な手順を実施前に、場面と共に記述・想起する作業(特に開始場面):集中力訓練,(2)その場面の中で、全ての危険要因(自分自身,患者,機械,環境等)を想起し、洗い出す作業:感受性訓練,(3)洗い出された危険要因に対して、実施前に自ら問題解決・改善を図る作業:問題解決訓練から成り立ち、臨床実習における危険予知能力の向上を目的とする。先輩の経験知から学ぶことに加え、看護行為の結果や危険を予知する能力を高めることが、エラーの予防に繋がっていくと考える。 次に要因2.「知識不足等によるミステイク」は計画段階のエラーで、誤ったメンタルモデルを構築させない方策が必要である。学生自身が知識を増やすこと、とカンファレンスで計画を発表(外化)し、臨床指導者・指導教官・友人等からその内容について指摘や助言を受けることは、自分の視野狭窄を防いでくれる大切な防止策である。 要因3.「うっかり忘れ」は実行段階のエラーで、準備と実施終了段階あるいは退室時に、振り返って器具等を視野に入れながら指差をし、声を出して自分自身に確認を行うことが有効である。これらの行為は対象をしっかり視覚で捉え、聴覚(声)を通して再認識し、動作(指差)によってさらに意識づけるという効果をもたらすものである。要因4.「うっかり間違い」は意図は適切でも、行為の実行までに注意のコントロール不全が起こってしまう実行段階のエラーである。このエラーを防ぐには、注意の自己モニタリング(調整)力をつけることが重要である。そのためには関連知識を増やし、活性・高度化すること、自分で心の中を覗き込む感覚(内省)能力をつけることが必要である。具体的には自己観察・検討・評価の経過を自己洞察することであり、焦点化や弛緩法を取り入れ、行動を客観視することが有効である。以上4つの要因に関する対応策について提案を行った。
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Research Products
(1 results)