2002 Fiscal Year Annual Research Report
対麻痺を有する障害者の栄養所要量把握による、内臓脂肪型肥満の予防対策
Project/Area Number |
14572260
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
菊永 茂司 ノートルダム清心女子大学, 人間生活学部, 教授 (10148728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉良 尚平 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (50033212)
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Keywords | 脊椎損傷者 / 内臓脂肪型肥満 / 糖尿病 / エネルギー消化率 / 無機質の出納 |
Research Abstract |
これまで(平成11〜13年)に愛知県と広島県の労災リハビリテーション作業所で軽作業に従事している脊損者、およびその地域に社会復帰している背損者を被験者にして生活習慣病に関連する種々の要因を調べた。その結果、平均BMIや体脂肪率はいずれも低値であったが、内臓脂肪型肥満の割合が高く、ブドウ糖負荷試験による糖代謝異常を有する者が約50%と高値であった。また、消費エネルギーは、1,300〜1,400kcal/日の者が多く、作業所での給与(摂取)エネルギー約2,000kca1旧に比べて著しく低く、脊損による栄養素の吸収率低下の可能性が考えられた。そこで今年度は、脊損者の生活習慣病の予防とQOLの向上を目指した長期間にわたる適切な栄養指導を実施するに際して、肥満関連要因の調査とエネルギーを中心とした栄養素の消化吸収試験を行うことにした。これらのことを、これまでと同一被験者で行うことに努力したが、排便に困難を伴う被験者に配慮した採便環境とその処理設備等に解決を要する問題が生じたために断念し、岡山市周辺で社会復帰している脊損者を新たな被験者として調べた。この被験者は、30歳代2名、40歳代2名、50歳代と60歳代各1名の計6名である。被験者の3日間の食事を陰膳で取り、この食事に由来する便と尿を採取した。食事と便は、適量の超純水を加えてホモゲナイズしてその一部を採取し、真空凍結乾燥後に粉末にした。これを測定試料にして、エネルギーをボンブの熱量計で、また無機質を湿式分解後に原子吸光分析器で測定する。また、尿は、湿式分解後に無機質の測定に用いる。いずれも現在分析中である。肥満関連要因については、内臓脂肪面積が50歳代以降の被験者で高く、いずれの人も内臓脂肪型肥満であった。また、50歳代以降の2名の血糖値は基準値より高かったが、HbA1cは基準値内であった。しかし、他の被験者の肥満関連要因には異常は認められなかった。さらに被験者数を増やしたいと考えている。
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