2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経難病療養者における支援サービスに対する意志決定と支援提供のあり方に関する研究
Project/Area Number |
14572262
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
小西 かおる (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (60332376)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 朗子 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (60321882)
|
Keywords | 神経難病 / 意思決定 / 支援サービス / 支援提供 / 在宅ケア |
Research Abstract |
1.神経・筋疾患難病療養者のコミュニケーション支援について知識・技術の普及 平成14年度に作成した「コミュニケーション方法の獲得と支援方法マニュアル」を用いて、研究者の所属機関が開催する研修において、知識と技術の普及を行った。 2.人工呼吸器装着を希望しないALS療養者の在宅療養支援について 専門医、地域かかりつけ医、保健所、訪問看護ステーション等の協力を得て、人工呼吸器を装着しないと意思決定したALS療養者に対し、視診・触診・聴診および呼吸機能測定等の客観的データによる呼吸のフィジカルアセスメントをもとに、専門医により補助呼吸の必要性についてのインフォームドコンセントを行った。療養者・家族の人工呼吸器装着の意思を適宜確認しながら、終末期のケアについて在宅ケアチームと療養方針について決定した記録をもとに、人工呼吸器装着を希望しない終末期の看護診断基準と看護ケアの基準を明示した。 3.人工呼吸器装着在宅ALS患者の在宅療養環境の整備について 平成14年に行った在宅人工呼吸器使用患者の調査(東京都)および平成15年に行ったALS患者の療養環境に関する全国調査をもとに、医療処置選択および支援サービスに対する意思決定に係る要因について分析を行った。その結果、非侵襲的人工呼吸療法が増加の傾向にあり、意思決定のひとつの選択肢として確立されつつあることが明らかにされた。一方で、非侵襲的人工呼吸療法は使用期間が1年未満のものの割合が最も高く、気管切開への移行を考慮に入れた意思決定の支援が重要であることが示唆された。また、既存の研究結果にもあるように、本研究においても、同居家族形態や協力者がその他の家族にいることが支援サービスの意思決定に影響していたが、家族以外の非医療職による吸引の選択にも影響を及ぼしていた。これには、現行の訪問看護制度による支援サービス提供の限界が作用していることが考えられたが、入院回数やトラブルの回数にも影響しており、安全を確保する支援提供のあり方について見直しの必要があると示唆された。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 小倉朗子, 小西かおる, 他: "神経・筋難病療養者のコミュニケーション その特性と支援の基準化に関する検討"日本難病看護学会誌. 8(1). 41 (2003)
-
[Publications] 小倉朗子: "ALS等神経難病療養者の療養仮定と看護サービス・療養環境整備の課題"訪問看護と介護. 8. 306-312 (2003)
-
[Publications] 小倉朗子, 小酉かおる, 他: "東京都における在宅人工呼吸器使用難病患者の実態調査-二次医療圏を単位とした訪問看護の利用状況-"日本難病看護学会誌. 8(1). 43 (2003)
-
[Publications] 小倉朗子, 小西かおる, 他: "在宅人工呼吸療法を実施しているALS療養者における排痰困難とカフレーターを用いる排痰看護に関する検討"日本呼吸管理学会誌. 13. 183 (2003)
-
[Publications] 小倉朗子, 他: "人工呼吸器装着を選択しないALS療養者の在宅療養支援に関する検討"日本難病看護学会誌. 8(1). 61 (2003)
-
[Publications] 小西かおる: "Respiratory Support in a Multidisciplinary and Decision-Making in Amyotrophic Lateral Sclerosis (ALS) requiring Home Mechanical Ventilation"European Respiratory Journal. 22(45). 512s (2003)
-
[Publications] 小倉朗子, 他: "実践看護技術学習支援テキスト 在宅看護論 意思決定を支える技術"(2003)