2003 Fiscal Year Annual Research Report
透析を受ける慢性腎不全患者への在宅メンタルヘルス看護に関する研究
Project/Area Number |
14572263
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
木立 るり子 弘前大学, 医学部, 助手 (60197192)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天保 英明 順天堂大学, 医学部, 講師 (00312497)
山内 久子 弘前大学, 医学部, 助教授 (80113843)
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Keywords | 血液透析患者 / 慢性腎不全患者 / メンタルヘルス / 人格検査 / 気分尺度 / 精神健康尺度 |
Research Abstract |
本研究では、血液透析を受ける患者の闘病スタイル、とりわけ心理・行動変化に焦点をあてており、個人の背景ならびに病状変化と関連づけることによって、アセスメントツールの項目開発を目的としている。研究方法は、質問紙法による県内透析患者の実態調査と、インタビュー法による3年間の追跡調査である。 平成14年度には、県内透析患者を対象に、人格尺度(NEO-FFI)を用いた質問紙調査を行った(有効数608)。平成15年度にはこの分析結果を公表した。一般成人の先行結果と比べた透析患者の全体的人格傾向としては、「開放性」が低いことから、保守的・控えめ・静かな情緒表現の傾向が明らかになった。全体傾向での「神経症傾向」は平均的な結果であったが、病状あるいは生活の変化があったとする人の神経症傾向が高く、この結果から「神経症傾向」が闘病の質評価の指標になりうる可能性が示唆された。 さらに、人格・行動傾向からみて、神経症傾向と開放性の得点が高いタイプとそうでないタイプとの2タイプに類別された。タイプの差異についても「神経症傾向」で特徴づけられ、この傾向が高いタイプは、心理的に敏感かつ開放的で、どちらかと言えば抑うつ的になりやすいが、神経症傾向が低いタイプでは、物事への対処がうまくできやすいと推察される。 インタビューへの協力者20名の継続調査は、平成14年2月から半年〜1年間隔で行っている。半構成的インタビューを基調としているが、同尺度を用いて追跡するメリットを考え、精神健康尺度であるGHQ28ならびに気分尺度であるPOMSによる既存の心理テストも併用している。平成16年度春までに最終インタビューを終え、闘病の質に関連する要素の分析を進めていく予定である。質的データからは、質問紙調査で明らかになった闘病(人格・行動)のタイプ別に、具体レベルでの対処法を導くことができると考えている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 木立るり子, 作道信介: "在宅介護の日常化に関する研究-娘・嫁による相手理解の仕方について-"家族看護. 1(2). 134-143 (2003)
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[Publications] 木立るり子, 山内久子, 天保英明: "NEO-FFIからみた血液透析を受ける患者の全体的人格傾向"第44回心身医学会学術講演会 抄録集. 311 (2003)
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[Publications] 木立るり子, 山内久子: "NEO Five Factor Inventoryからみた透析患者の「神経症傾向」"第6回日本腎不全看護学会学術集会 抄録集. 38 (2003)
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[Publications] 山内久子, 木立るり子: "透析患者のPOMSによる気分プロフィールと日常生活との関連"第6回日本腎不全看護学会学術集会 抄録集. 39 (2003)
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[Publications] 木立るり子: "嫁介護者の語りからみた社会規範意識と介護継続の条件"日本看護研究学会雑誌. 27(1)(未定). (2004)