2002 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管障害高齢者の在宅ケア移行期から1年間の介護・看護プログラムの開発「閉じこもり・閉じ込められ」予防のための早期介入とその評価
Project/Area Number |
14572279
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
加藤 基子 愛媛大学, 医学部, 教授 (60290053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新野 直明 国立療養所中部病院, 長寿医療研究センター, 室長 (40201686)
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Keywords | 重度脳血管障害者 / 嚥下障害 / 呼吸機能低下 / コミュニケーション障害 / 四肢麻痺 / 吸引 / 呼吸・嚥下機能訓練 / 初期看護計画 |
Research Abstract |
初年度は在宅療養をしている脳血管障害者の訪問看護上の問題を把握し、研究対象者の絞込をおこなった。以下に分析ケースを示す。 ケース1:67歳、男性、病名:左視床出血、症状:右片麻痺、失語、手術後1年間リハビリテーションを受け自宅退院する。入院中に胃瘻造設。退院計画から訪問看護師が参加する。在宅では経口摂取が可能となり胃瘻抜去、口腔ケアと顔面マサージを取り入れたケアを継続し、発症後約3年後に言語訓練が再開。「いやだ」「おはよう」などの発語がみられる。 ケース2:57歳、男性、病名:脳幹部梗塞、症状:失語、嚥下障害、四肢麻痺、6ヶ月の加療後9ヶ月間リハビリテーション加療、気管切開、胃瘻造設する。退院後在宅で妻が介護する。肺炎や社会的理由で入院を繰り返す。発症後5年経過して、訪問看護で呼吸機能訓練等を開始した。その結果深呼吸ができ、胸部写真上でも肺野の状態は改善し肺炎に到ら経過している。 ケース3:72歳、女性、病名:脳出血(橋出血)、症状:失語、嚥下障害、四肢麻痺、付随運動.2ヶ月の加療の後リハビリセンターで3ヶ月入所後、併設の保健施設を経て在宅療養となる。この間肺炎で1回入院。退院後の訪問看護では呼吸管理と呼吸機能訓練を強化した計画を追加し、経過中。 ケース4:74歳、男性.病名:脳梗塞、発作性心房細動.症状:左半身麻痺、呂律失調、左空間失認、失語.保存療法で入院加療後在宅療養となる。再発せず経過中。 ケース5:73歳、男性、病名:脳幹部梗塞心房細動、症状:言語障害、嘘下障害、左片麻痺、入院中胃瘻造設、1年間入院加療リハビリテーションを受け、在宅ケアへ移行。経口摂取の希望が強いため、発症後4年経過して、訪問看護で間接的嚥下機能訓練を開始した。その結果、以前より深い呼吸、下顎交互運動、不動であった舌が歯列まで突出、反復唾液嚥下が1〜2回/30sとなった。また唾液を誤嚥することからおこる肺炎による発熱がみられなくなった。 以上の事例検討から(1)失語、嚥下障害、麻痺がある重度脳血管障害者に対して在宅療養開始時期から呼吸・嚥下機能訓練、座位保持訓練を積極的に行う必要性が示唆された。(2)実施にあたっては対象者の機能評価と可能性を総合的に評価し、在宅療養の強みを生かした援助が効果的であることがわかった。平成15年度は重度脳血管障害者を対して、呼吸・嚥下機能訓練および座位保持訓練を中心にした訪問看護プログラムを作成し実施する。さらに、重度脳血管障害者は療養経過の中で肺炎を繰り返し、気管切開を余儀なくされていく。このため、介護者の負担は大きくまた家族以外の介護代替者が得にくい状況にある。全国の訪問看護ステーションを利用している重度脳血管障害者と家族に対して、提供されている家族介護や訪問看護の内容及び対象者の健康状態、呼吸機能や嚥下機能の廃用性変化の推移を調査し、重度脳血管障害者と家族のケアニーズを把握し、プログラムに反映させる。
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Research Products
(1 results)