2003 Fiscal Year Annual Research Report
脳血管障害高齢者の在宅ケア移行期から1年間の介護・看護プログラムの開発 「閉じこもり・閉じ込められ」予防のための早期介入とその評価
Project/Area Number |
14572279
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
加藤 基子 愛媛大学, 医学部, 教授 (60290053)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新野 直明 国立療養所中部病院, 長寿医療研究センター, 室長 (40201686)
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Keywords | 脳血管障害者 / 障害の程度 / 介護 / 訪問看護 / 在宅療養期間 / QOL / 介護負担感 |
Research Abstract |
2年度は初年度の結果を踏まえて脳血管障害者の在宅療養実態調査をした。調査は愛媛全県下93箇所の訪問看護ステーションのうち82施設の訪問看護ステーションに勤務する看護師を対象とした。方法:調査期間は15年11月〜12月。方法は質問紙を用いた郵送調査。調査項目は訪問看護ステーションを利用している脳血管障害者とその介護者に対して在宅における療養生活実態を把握するため以下の4領域(1)在宅脳血管障害者の属性、(2)介護者の属性および介護内容(3)ケアサービス等の利用状況と生活実態、(4)訪問看護師によるケアの必要性の判断と実施しているケアの計20項目である。分析はSPSS11. OJ for Windowsを使用した。倫理的配慮は調査結果を研究目的以外には使用しないことを書面により説明し返信により同意を得たこととした。 結果:訪問看護師から回答のあった脳血管障害者は587人、男性295人(50.3%)、女性292人(49.7%)であった。平均年齢は77,93(±10.02)。主疾患は脳梗塞450人(76.7%)、既往歴は高血圧が313人(58.4%)と最も多かった。再発作の既往は148人(27.1%)、再発作の回数は平均0.42回(±0.87)で最大5回繰り返していた。発作からの経過年数は平均7.34(±6.53)年であった。現在の介護度は要介護5が233人(39.7%)と最も多かった。現在の障害は麻痺が上肢447人(76.1%)、下肢458人(78.0%)で、症状として一番多かった。BI(バセルインデックス)は平均37.69(±35.18)であった。訪問看護師による脳血管障害者の状態把握は高次脳機能障害については不明と回答されているのもが多く、また、発症時の症状や病変部位についての情報は不明と回答し、的確な障害状況の把握なしに訪問看護がおこなわれている傾向が示唆された。訪問看護導入時期から介護度の変化については重くなった89人(17.8%)、変化なし368人(73.5%)、軽くなった44人(8.9%)と回答し、VAS法による脳血管障害者の在宅生活におけるQOLの平均は60.81(±22.97)であった。さらに生活状態が徐々に低下あるいは低下していると回答があったのは126人(21.5%)であった。訪問看師が評価したVAS法による介護者の負担感は平均67.13(±25.35)であった。さらに、在宅療養期間による特徴をみるため、在宅療養期間の長期療養群と短期療養群の2群にわけ分析した。長期群は短期群に比べBIが低く(P<0.05)自立度は低下していた。介護負担感は高く(P<0.01)、QOLは現状維持(<0.05)。介護項目では排便コントロールとオムツ交換が多かった。看護項目では長期群は短期群に比べて、関節ROM訓練や歌を歌うなど言語訓練などの働きかけが少なかった(P<0.05)。 考察:療養の長期化に伴い自立度は低下していた。介護・看護では排便コントロールやおむつ交換が増え、ROM訓練や歌うなど生活の中で言語や呼吸機能に働きかけるケアが低下し、療養期間の長期化に伴い介護負担感は高かった。長期化にともない在宅療養生活の継続とQOLを維持していくために適切な時期に専門的知識・技術をもった訪問看護師の介入の必要性が示唆された。
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Research Products
(1 results)