2003 Fiscal Year Annual Research Report
妊産婦におけるドメスティック・バイオレンスの被害実態と予防的ケアに関する研究
Project/Area Number |
14572288
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
加納 尚美 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教授 (40202858)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永瀬 つや子 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助手 (10336480)
村木 敏明 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (20182115)
小松 美穂子 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (50134169)
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Keywords | ドメスティック・バイオレンス / 妊産婦 / 出産経験 |
Research Abstract |
本年度の実施結果としては、2段階のプロセスを経て、研究遂行を行なった。 以下に段階毎に結果をまとめる。 1.出産経験者へのアンケートおよび面接調査の分析結果:昨年度(2003年1-3月)茨城県内在住の乳児を持つ女性へのアンケート調査、回答者は619名(回収率55.3%)の分析を行なった。その中で、「夫からの暴力の有無」に関する質問には0.2%がありと回答していた。「暴力」という捉え方が一面的である可能性があったので、具体的な質問紙の開発の必要性が高い。一方、43名(2002年9〜2003年3月調査)の出産経験者面接調査からは本人たちは意識していないが、語られたエピソードからはDV被害や医療者からの傷つき経験が明らかになった。具体的には避妊に協力しない、出産後の妻の体型へのコントロールなどがみられた。また、妊産婦は医療者との間でコミュニケーションギャップを感じ、自分自身の傷つき体験を十分に言語化できていなかった。 2.茨城県県南部および東京都江戸川区における保健医療機関での聞き取り調査:世界保健機構(WHO)の提唱する女性への暴力撲滅には個人-家庭-地域-社会という生態学的視点で取り組む必要があり、特に保健医療の場では暴力被害の発見、早期介入、危機介入が求められている。そこで、前述の2つの地域にて、保健所、保健センター、総合病院、産科医院にて、2004年2-3月に保健医療従事者および妊産婦に合計10名から協力を得て面接調査を行なった。これは茨城県立医療大学倫理委員会の承認を得て行なった。その結果を元に現在調査表を作成している。来年度は、前述に地区の産科を標榜する病産院を中心に、医療スタッフ、外来初診者、および産後1ヵ月の女性に対して、生活の中での暴力被害の実態および対処行動、医療施設での対応について調査を行い、生態学的実態を明らかにし、予防的対策を検討する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 加納尚美: "女性の受け止めた出産体験-初めての出産を体験した女性のニーズ"茨城県母性衛生学会誌. 23号. 1-6 (2004)
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[Publications] 島田智織, 加納尚美, 楠見由里子, 永瀬つや子, 小松美穂子: "茨城県における妊婦ケアの実態"日本助産学会誌. 17巻3号. 84-85 (2004)
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[Publications] 楠見由里子, 加納尚美, 島田智織, 永瀬つや子, 小松美穂子: "茨城県における出産時のケアと満足度"日本助産学会誌. 17巻3号. 876-886 (2004)
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[Publications] 加納尚美, 永瀬つや子, 小松美穂子他: "茨城県における出産の実態と満足度に関する研究"茨城県立医療大学紀要. 9巻. 1-10 (2004)
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[Publications] 阿部真理子, 加納尚美, 島田智織, 小松美穂子: "女性の出産体験における医療者とのコミュニケーションギャップ"茨城県立医療大学紀要. 9巻. 133-146 (2004)
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[Publications] 星旦, 松田正己編集:加納尚美: "公衆衛生:「リプロダクティヴ・ヘルス/ライツ」担当"医学書院. 4 (2002)