2004 Fiscal Year Annual Research Report
医療事故体験看護者のリスク感性を高めるメタ認知支援とリスク管理システムの構築
Project/Area Number |
14572296
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
横手 芳恵 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (80200905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 隆子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助手 (60382363)
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Keywords | 医療事故 / リスクマネジメント / メタ認知 / リスク感性 / 当事者サポート / 事故の予見 / 予見の攪乱 / 事故予見のリアリティー |
Research Abstract |
研究協力施設のリスクマネジャーと看護部長とで発生事故事例の丹念な分析をすすめた。その成果は第9回日本看護管理学会(平成17年8月神戸)でテーマ「事故報告書にもとづくリスクマネジャーの組織活動に関する事例分析」として発表予定。8件の事故について、リスクマネジャーの実践を時系列構造的に分析し、リスクマネジャーの機能が「事故対策」、「倫理追求」、「組織活性」の3要素によって遂行される安全構築の組織活動としてまとめた。一方、16年度から研究会を一部公開して、参加者による意見交換をもとに事故(すでに公開された事故事例を素材として)の多様な側面を検討。特に、患者側訴訟の経験を持つ弁護士による公開講座では法制度上の課題と動向を確認した。そこで、事故の法的責任が求められるのは結果予見義務と結果回避義務を怠った場合であることをふまえて、「医療事故当事者の事故<予見>と<攪乱>の構造」をまとめ、第29回日本看護研究学会(平成17年7月札幌)で発表予定。事故体験者22名の面接データ(許可を得たテープ記録を逐語録化)を分析した結果は、看護師の予見が臨床状況や患者の状態について事前情報に規定されて予測しているのであるが、それは看護師の知識と経験に裏付けられた判断とその回避技術、事態に対処する責任意識をもとに構成されていた。しかし、その予測のリアリティーは臨床の環境・状況要因によって攪乱され、事故に至る構造であることを明らかにした。 また、平成17年1月、社団法人日本看護協会神戸研修センターの依頼により、医療安全管理者(リスクマネジャー)養成研修として、これまでの成果を「事故当事者へのケア」として講演し、リスクマネジャーの「事実確認/原因追及」「被害(波及>防止/状況修復・円滑化」「当事者の再発防止」の観点からの当事者への関与と支援について報告した。
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