Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
薬師寺 文子 広島県立保健福祉大学, 看護学科, 助手 (30310858)
山中 道子 広島県立保健福祉大学, 看護学科, 助手 (60280187)
越智 淳子 広島県立保健福祉大学, 理学療法学科, 助手 (00280199)
平田 ゆかり 藤田保健衛生大学, 医学部, 助手 (50156676)
清水 遵 愛知淑徳大学, コミュニケーション学部, 教授 (50121439)
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Research Abstract |
1.目的及び方法:本研究では高齢者を対象として,アニマル・セラピー(動物介在活動)の不安やストレスの軽減作用について,生理心理学的に評価することを目的とした.本年度も従来からご協力頂いている静岡県の高齢者福祉施設でデータ採取を行った.今回は,動物介在活動を従来どおりに高齢者に実施し,その対照(統制)群として,約1ヶ月後において同一の対象者に対して,動物が登場するビデオ視聴をして頂く実験を行った.高齢者と動物(犬及び猫)との触合い,又はビデオ視聴は午後2時〜2時半の約30分間とし,本研究に文書での同意を得た高齢者(1設:12名)に対して,実験直前,実験直後,実験後60分後の3回唾液の採取を行い,唾液中のストレス指標物質の定量および連続採取した心拍変動(HRV)によって,自律神経活動の評価を検討した.また,動物介在活動中の簡易脳波,特にα波の出現率の検討も行ったが,データは現在解析中である. 2.生化学的及び生理的変化(1)STAI(不安尺度の変動):状態不安尺度は,動物介在活動により男女共何れも優位な低下を示したが,男性の方がその低下は著しかった.一方,ビデオ視聴前後では,大きな変化は見られず,動物介在活動時の不安軽減作用が示された.(2)唾液中の遊離コルチゾール量:動物介在活動では,直前と比べて直後及び30分後で約20%の有意な低下を示した.一方,ビデオ視聴でも視聴30分後に約40%の有意な低下を示し,何れもストレスの軽減効果が示された.(3)HRV:心電図のR-R間隔の変動をパワースペクトル解析したところ,動物介在活動後では,LF/HF(交感神経活動の指標)の低下傾向を,またTotal Power(副交感神経活動の指標)が,実験前の約1.8〜2倍の増加傾向を示し,リラックス効果が示された.一方,ビデオ視聴前後の心拍変動は,大きな変動は見られなかった. 以上のことから,動物介在活動は,高齢者の心理的な不安・ストレス軽減作用および副交感神経優位なリラック効果が示されたが,ビデオ視聴によっては,これらの効果が動物介在活動に比べて少ないことが示された.
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